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2021.11.01 12:30

プラットフォーム事業の「バランス」の作り方|食べチョク 秋元里奈 #1

食べチョク代表 秋元里奈 (提供=DIMENSION NOTE)

「生産者のこだわりが正当に評価される世界へ」をビジョンに掲げ、一次産業の生産者が、個人に直接商品を販売できる産直通販サイト「食べチョク」を提供しているビビッドガーデン。累計資金調達額は8億円を超え、テレビ東京「日経スペシャル カンブリア宮殿」にも取り上げられた。同社の代表取締役社長の秋元里奈氏に、起業家の素養や事業成長の秘訣などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全3話中1話)


今やっていることに「夢中」か?


──秋元さんが考える、起業家にとって重要な素養を3つを挙げるとするとなんでしょうか?

1つめは「夢中力」。つまり目の前のことに夢中になる力。2つ目が「なんとかする力」。3つ目は「柔軟性」だと思っています。

私の好きな言葉で「努力する人は夢中な人に勝てない」という言葉があります。起業すると大変なことがいっぱいある中で「努力している」と思っていると辛い。「夢中な人」であれば息を吐くように努力ができる。続けるためにはこの「夢中力」がまずは大事だと思っています。

2つ目の「なんとかする力」は、起業すると成長の過程で絶対に新しい壁にぶち当たった時に必要。ゴールを達成するためになんとしてでも帳尻を合わせにいく推進力は重要です。

最後の3つ目の「柔軟性」は、目的達成のために柔軟に自分自身や手段を変えていける力です。実はこれは「夢中力」とのバランスが難しい部分でもあります。

例えば私の場合、実家の農業が廃業して耕作放棄地になってしまったという原体験からスタートしていますが、「耕作放棄地を減らす」ことだけに固執してしまうと、選択肢がどんどん狭まってしまう。選択の余地が必要以上に少なくなると、事業を継続する難易度が一気に上がります。

私は「農地」の課題から「一次産業」の課題へと抽象化し、取り組むべき事業の順序を柔軟に検討できたからこそ、現在の成長につながっています。

まとめるとまずは「夢中力」を軸に、どんな困難も「なんとかする力」。そして時には判断を変更する「柔軟性」。この3つが起業家にとって重要な素養なのかなと思います。

「本物の打席」が自分を変える


──秋元さんはそれらの素養をどのようにして身につけられたのでしょうか?

新卒で入社した前職のDeNAでの経験です。前職では「本物の打席に立つ」経験をたくさんさせてもらって、自分のやったことがないことにどんどんチャレンジしました。先ほどの3つの素養は、それらのチャレンジを通して知らないうちに身についていたように思います。

私は元々起業したいとは一切思っていなかったので、経営のスキルなどほとんどない状況から事業を起こしました。それでも走りながら学んでこれたのは、前職で同じような経験をさせてもらえていたからだと思っています。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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