米国のミレニアル世代が持ち家をあきらめる理由

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ミレニアル世代はすでに経済的に立ち遅れている。深刻なリセッションのなかで成人したのは彼らが初めてではないが、この不況は2、3年どころか10年も続いた。どうすればミレニアル世代がキャッチアップできるのかははっきりしない。ある報告書で指摘されているように、「実質賃金の伸びが日々のコストの上昇に追いついていない。住宅価格の上昇が賃金の伸びをはるかに上回るのは時間の問題だ」

いまの社会は「借家人階級」を拡大させるような政策や状況を許してしまっている。不動産所有者にとっては喜ばしい話だろう。業界の人たちが言うように、人は住む場所が必要なので、あまり価格を気にかけられないのかもしれない。だが、自然なことのように思われるため言及されることも少ないが、これは富の上方移転と呼ぶべきものである。

だからといって、その解決策としてマルクス主義の共産主義を提案することは、その歴史を踏まえれば筆者にはとてもできない。理論体系があったところで、上に立つ人たちがそもそも無節操で強欲であれば、別の行動をするとは思えない。

とはいえ、人々を二度と抜け出せないような立場にしだいに追い込んでいけば、社会の不安を増大させ、ゆくゆくは経済の破綻を招くことになるだろう。減りゆく一方の「持てる者」に依存して、活力を維持できる経済などあり得ないからだ。

編集=江戸伸禎

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