オーストラリアのスコット・モリソン首相は10月27日、同国のセブン・ニュースに対し、「大会が行われるビクトリア州がワクチン接種に関する規則について、特別に免除する措置の適用を求めれば、未接種の選手にも入国が認められるだろう」とコメント。
さらに、「未接種で入国することになる選手たちは、感染対策として入国から14日間は隔離されることに同意するだろう」と述べていた。
だが、開催地メルボルンがあるビクトリア州のダン・アンドリュース首相は、このモリソン首相の見解を即座に否定。メディアに対し、ビクトリア州がワクチン未接種の選手に対する接種義務の免除に向けて動くことはないと明言した。
アンドリュース州首相は、ワクチン接種を受けていない人には「パブやカフェ、レストランへの入店が禁じられ、メルボルン・クリケット・グラウンド(で行われる試合)や、その他のあらゆるイベントへの参加も認められていない」ことを指摘。
選手たちに接種を求めない一方で、会場を訪れる観客、大会に関わるスタッフに接種が義務づけるという状況を生み出すことはないとして、「基本的に、この問題には結論が出ている」と語った。
女子テニス協会(WTA)は先ごろ、所属する選手らに対し、オーストラリアテニス協会(TA)から「ワクチン未接種の選手も、14日間の隔離と定期的な検査結果の提出という厳格なルールに従うことに同意すれば、全豪オープンへの出場が認められる可能性がある」との連絡を受けたとするメールを送信。その内容が外部に流出していた。
だが、アンドリュース州首相の発言は、これを明確に否定するものとなった。つまり、接種状況を明らかにすることを拒否している世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチなどの選手は、来年の大会への出場が認められないということになりそうだ。
ジョコビッチは接種を拒否?
ビクトリア州の地元紙エイジは、TAは今年2月に行われた全豪オープンで優勝したジョコビッチが来年の出場を見送ることを懸念し、出場する外国人選手のワクチン接種義務を免除するよう求めていると伝えていた。
男子テニスでは、生涯グランドスラム(4大大会をすべて制覇)を達成したロジャー・フェデラーとラファエル・ナダル、そしてジョコビッチの3人が、グランドスラムの通算優勝回数が同じ20回で並んでいる。
来年の全豪オープンは、ジョコビッチがその回数を21とし、ライバルたちを一歩リードすることになるかどうかが最大の目玉となる。だが、ジョコビッチはセルビア紙ブリッツに対して先ごろ、来年の大会に出場するかどうかは「まだ決めていない」と話している。
また、自身のワクチン接種状況については、「個人的な問題」であるとして明らかにしておらず、「自由に質問し、人を判断することにおいて、最近は皆が行き過ぎになっている」との見方を示している。