ビジネス

2021.10.29 12:00

ふぞろいな「カプリコ」発売 「食品廃棄物95%削減へ」江崎グリコの本気


SCM本部製造部イノベーショングループの田島潔(CSR委員会環境部会)によると、食品会社から出る食品廃棄物を削減する方法は、大きく2つに分けられる。廃棄になる前にリサイクルする方法と、廃棄が出ないように商品の製造・販売を模索する方法である。

リサイクルとは、リサイクル業者を通じて商品を飼料や肥料などの原材料として利用したり、メタン発酵によるガスとして利用する方法だ。

しかし、国内工場においては、社内連携がうまくいかなかったり、急に大量の廃棄予備軍が発生したときにリサイクル業者の受け入れが追いつかなかったり、と様々な要因で廃棄を出してしまうことがあるという。これを改善するため、社内のオペレーションを改善したり、業者を探したりすることはもちろんだが、他にもフードバンクへの寄付など様々な方法を模索してきた。

できるだけ「人」に食べてもらいたい


「リサイクルはとても重要なのですが、正直に言えば、我々の商品は食べられるものなので、できるだけ人に食べてもらいたい。だからこそ、商品の製造・販売過程の見直しにも力を入れています」(田島)

サプライチェーンの効率化や需給予測精度の向上など、廃棄が発生しない仕組みづくりのほか、「ふぞろい品」のアウトレット販売などに取り組む。今回のジャイアントカプリコのふぞろい品もその一環だ。

田島によると、ジャイアントカプリコはチョコレートを膨らます製造工程で、チョコ部分の気泡が大きくなりすぎたりコーン部分が欠けてしまったりして、商品の規格を外れることがある。

「我々としてはできるだけふぞろい品をなくしたいので、機械や製造環境の改善を行っているのですが、それでも世に出せない商品はできてしまいます。通常の商品と品質や味は変わらないので、なんとか人に食べてもらえないかという想いで販売することにしました」

同社では、2009年から冬季限定商品の「冬のくちどけポッキー」のふぞろい品を限定販売してきた。製造の過程で、一部が折れたりかけたりした商品だ。

これらのふぞろい品は数量が限られているため、期間限定で販売チャネルを絞って展開している。今回の「ジャイアントカプリコ<いちご>ふぞろい品」も、公式ショップ「ぐりこ・や」と「ぐりこ・やコーナー」計8店舗のみで販売している。

社内からはこうしたふぞろい品の販売に関して、「ブランドイメージを毀損するのでは?」などの慎重論もあったが、最近の消費者動向を踏まえて販売を決めた。「ふぞろい品への消費者の認知が広まっていると感じます。環境やサステナビリティへの関心の高まりから、食品ロスを『もったいない』と感じる方が増えたのではないでしょうか」
次ページ > 製品の「売れ残り」を防ぐ仕組みも

文=田中友梨

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事