コロナ後遺症、認知機能障害が長く残ることが明らかに

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新型コロナウイルス感染後に、高い割合で実行機能不全が起きていることは、後遺症の治療に「大きな意味を持つ」ものだ。研究を重ねて、感染が後にもたらす影響を検証し、新型コロナウイルスが脳にどう作用するのかを解明する必要がある、と研究者たちは述べている。

対象となった元患者グループすべてで、認知機能不全が多く見られた。しかし、実行機能の検査では、入院患者と救急治療を受けた患者のほうが、不全の割合が著しく高かったことが研究で判明している。

実行機能の検査を受けた外来患者のうち、12%が「記憶の想起」について、16%が「記憶の符号化」について、13%が「カテゴリー流暢性(与えられたテーマについてどれだけ多く答えられるかを試す、実行機能の一般的なテスト)」について障害が認められた。救急治療を受けた患者の場合は、これらの障害が見られた割合はそれぞれ23%、26%、21%。入院患者の場合はそれぞれ39%、37%、35%だった。

入院患者はまた、外来患者と比べて、注意力障害を起こしている確率が2.8倍だった。こうした結果が浮き彫りにしているのは、ワクチン接種の重要性だ。ワクチンを接種したからといって、新型コロナウイルス感染症の症状すべてを予防することはできないが、まれにブレークスルー感染しても、重症化や入院のリスクは大幅に低下する。研究論文では、対象者がワクチンを接種していたかどうかは示されていない。

新型コロナウイルス感染症にかかった患者の多くが、「ブレインフォグ」と呼ばれる認知障害に苦しんでいるが、そうした訴えについて、大規模なサンプルを対象に、標準的な認知機能検査を用いて徹底検証した研究はほとんどない。ブレインフォグは、厳密な臨床用語ではなく、ある種の精神的不調や集中力の欠如とされるが、新型コロナウイルス感染症だけに見られる症状というわけではない。

ブレインフォグやその延長線上にある症状は、新型コロナウイルス感染症の後遺症で最も多く報告されており、延々と続いて患者を衰弱させ、感染してから何カ月にもわたって患者を苦しめる(何年も続く可能性もある)。症状は全身におよび、神経系やメンタルヘルスに支障をきたすことが多い。研究が示唆するところによれば、新型コロナウイルスに感染した人の5人に1人が、回復しても、3カ月以内に精神疾患の診断を受けている。脳や思考に影響を与える症状は、後遺症に苦しむ人たちに共通するものだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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