コロナ後遺症、認知機能障害が長く残ることが明らかに

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかってから何カ月もの時間が経過しても、多くの患者に認知機能の低下が見られる。これは、米国医師会雑誌(JAMA)のオープン・アクセス・ジャーナル「JAMA ネットワーク・オープン」で2021年10月22日に発表された研究で明らかになったことだ。

頭にモヤがかかったようにぼんやりして思考力が低下する「ブレインフォグ」と呼ばれる症状は、感染後に長く続く新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩まされる人の多くに共通していることが浮き彫りになったかたちだ。

今回の査読済み論文では、新型コロナウイルス感染症にかかってから何カ月も経過した(陽性と診断されてから平均7.6カ月後の)元患者740人を対象に、一連の認知機能検査を実施したところ、認知機能が低下している人が多数いることが明らかになった。一部の症状については、4人のうち1人が影響を受けている。

研究によると、検査を受けた元患者の4分の1近くが、記憶を整理したり(24%)、記憶を想起したり(23%)することに困難を抱えている。また、およそ5分の1は、思考を処理するスピードが低下したり(18%)、言語障害が起きたりしていた。

外来で治療を受けた患者に比べて、入院したり、救急治療を受けたりした患者のほうが、認知機能が低下している傾向が強かった。言語障害が起きている可能性は、外来患者よりも入院患者のほうが3倍、救急治療を受けた患者のほうが1.8倍高かった。また、記憶の符号化については、入院患者のほうが2.3倍、救急治療を受けた患者のほうが1.7倍。記憶想起については、入院患者のほうが2.2倍、救急治療を受けた患者のほうが1.5倍となっている。

記憶の再認(過去に遭遇した物事を認識する能力)については、記憶の符号化や想起ほど大きな影響はなかった。研究者によれば、これは実行機能に問題が起きていることを示唆しているという。実行機能とは、行動を計画したり、手順を考えたり、調整したりするのに欠かせない高度な知的スキルだ。

広く知られているように、年配になると、重い病気にかかったあとに認知機能が低下しやすい。しかし研究論文によれば、検査対象となった元患者の年齢層が比較的低かったため(平均年齢は49歳)、こうした認知機能の障害は明らかに新型コロナウイルス感染症に関係していることを示しているという。この結果は、インフルエンザなどのウイルスに関する研究と、初期の新型コロナウイルス感染症患者に関する報告と一致するものだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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