年末年始に待ち受ける「万物不足」問題 米国では旅行需要が激増

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米国では、新型コロナウイルスの流行を受けた渡航制限が1年半にわたり続き、多くの人は旅行について不安を感じてきたが、そうした状況も変わりつつあるようだ。人々は再び旅行を考え始めている。入国制限の解除により、海外旅行の需要も復活。繰延需要の規模は非常に大きく、予約件数は既に激増している。

ただ、一つ大きな問題がある。コロナ流行により、世界では大きな経済問題が発生。こうした問題の多くが、感謝祭から年末年始にかけたホリデーシーズン中の旅行に影響することになる。各地で労働力が不足し、物流が滞り、物価が高騰している中、今年の年末は「不満の冬」になるとされている。航空便やレンタカー、ホテルの多くが既に予約でいっぱいな状態だ。

渡航規制が解除されたのにもかかわらず、旅行ができないというのは、何とも皮肉な状況だ。

米国とオーストラリアが入国禁止措置を解除


長距離旅行の旅先として人気だった米国とオーストラリアでは、2020年3月から続いていた入国禁止措置がクリスマス前に解除され、観光客の受け入れが再開される見通しとなった。

オーストラリアは、国内のワクチン接種率が80%に到達した場合、海外からの観光客を受け入れるとしており、クリスマス前にこれが達成される可能性が高い。シドニーは、ワクチン接種を終えた外国人の入国を11月1日から認めると発表した。

米国は11月8日に入国禁止令を解除する予定。欧州連合(EU)や英国からの旅行者は約600日ぶりに米国への入国が許可される。陸路での入国も11月に解禁される予定だ。(編集部注:日本からの旅行者はこれまで米国入国が許可されていたが、11月8日からは条件が厳格化され、入国前のワクチン接種が義務化される)

ホリデーシーズンの旅行は昨年から増加


米国では多くの人が旅行を予定している。プライスウォーターハウスクーパース(PWC)の調査では、消費者の信頼感が戻り、コロナ流行の波が収まりつつある中で、旅を計画する人が増えていていることが示された。

米国人の52%は旅行を計画しており、うち40%は航空便を利用すると回答。世帯収入が15万ドル(約1700万円)以上の家庭では、航空便の利用率は57%に増えた。

また、年末までに取得しなければ消滅する休暇がたまっていることも、状況をさらに複雑にするだろう。エアビーアンドビーが米国、メキシコ、英国、フランス、オーストラリアの消費者7500人を対象に9月20日~27日に行ったアンケートでは、回答者の約半分が、年末までに使わなければ消滅する有給休暇があると答えた。
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編集=遠藤宗生

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