30U30

2021.11.01

日常に性教育環境を。女性社会起業家が3年以内での実現を目指す

社会起業家 鶴田七瀬

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」。

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、ソーシャルアントレプレナー部門の受賞者として選出されたのが、鶴田七瀬だ。



鶴田七瀬は「性教育トイレットペーパー」や性の課題を学ぶボードゲームなどの製品を介して、日常に性教育を取り入れることを目指す。


──なぜ性教育に携わることに?

友人が自分との共通の知人から性被害を受けたことを、すべてが終わった後に聞いて、何かできることはなかったのか、と考えたのがきっかけでした。勉強していくうちに、性被害は個人の問題ではなく、社会で解決すべき問題だと考えるようになりました。

──教材に工夫がある。

トイレットペーパーは家でも学校でも使う日用品で、他人の目を気にせず個室で学べます。身近なテーマをイラスト化し、性教育サポートが薄い小学生以下を対象にしました。

ボードゲームは高校生以上の大人が性教育について話す場。すごろくのマスにクイズやディスカッションのテーマが書かれています。「知らなかった」ことを知るきっかけにしてもらいたいです。

──これらの製品を通じて目指すものは?

性教育を日常に取り入れ、触れる機会を増やすこと。恥ずかしくてオープンに話せなくてもいい。大人も子どもも、背後にある環境や人間関係といったストーリーを含めて問題を理解すると、性の悩みを相談できるマインドと環境が整いますし、自分の意思決定を大切にできると思います。

──今後10年以内に実現したい人生の目標は?

直近では、緊急避妊薬の無償化とそこから性教育や生活環境の支援を行う仕組みを考えています。3500万円のクラウドファンディングを来春に行う。また、避妊具の無償化も目指す。海外では中絶件数の大幅な減少につながっているからです。3年間で国全体での制度につなげます。


つるた・ななせ◎1995年、静岡県生まれ。性教育を社会の問題ととらえ、青少年の性教育を行うNPOで活動する傍ら、ブログでの情報発信を始め、2018年、ソウレッジを立ち上げる。

文=丹 由美子 写真=映美

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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