ビジネス

2021.10.28

水エンジンの「Pale Blue」4.7億円調達 22年に宇宙実証

Pale Blue CEO浅川純


日本では唯一の企業であるPale Blueが開発するのは、「水蒸気式」「水プラズマ式」「ハイブリッド式」の3種類。水蒸気式は、推進機の穴から水蒸気を噴出させることで瞬間的に推進力を生み出し、さまざまな方向への細かな軌道修正ができるというもの。

水プラズマ式は、1方向へしか進めないが、水の使用量が少なく燃費が良い。この技術は、世界でPale Blueだけが持つ独自技術だ。そして、軌道修正のタイミングに合わせてこの2つを使い分けるのがハイブリッド式だ。

推進機
Pale Blueが開発する推進機。大きさは約10センチ四方。(提供=Pale Blue)

23年に市場投入を目指す


今回の資金調達を受け、浅川らが5年以上をかけてきたこれらの水推進機が、いよいよ実用化に向け動き出そうとしている。

「地上試験では、安全性や推進力などの点で問題はない。自分たちのプロダクトが宇宙でも動くことを示したい」

浅川は、2022年中に予定される宇宙航空研究開発機構(JAXA)との実証実験への意気込みを語る。同年には、アメリカ航空宇宙局(NASA)や民間企業とのプロジェクトも予定している。

「宇宙実証に成功し、23年から本格的に市場へ投入することを目指している。並行して、調達した資金を元手にエンジニアの確保や量産販売を行っていく。さらには自社で小型衛星を開発し、宇宙空間での物資の輸送サービスなどにも事業を拡大していきたい」

文=露原直人

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