同SPACは上場により、約2億9100万ドル(約330億円)を調達、評価額はおよそ10億ドルとなる。上場後は株式の68%をフェイズ・クランの既存の株主が所有することになるという。また、この上場によって、フェイズ・クランは約2億7500万ドルを手にすることになる見通しだ。
フェイズ・クランに出資している投資家には、ミュージシャンのピットブル、スウェイ・リー、オフセットのほか、プロアスリートのカイラー・マレー(NFL)、ベン・シモンズ(NBA)、ナイジャ・ヒューストン(スケートボーダー)、著名音楽プロデューサーのジミー・アイオヴィーンなど、そうそうたるメンバーが含まれている。
コンテンツクリエイターやプロのeスポーツプレーヤーのためのブランドを構築し、それを基に、グッズの販売やソーシャルメディア向けコンテンツの制作、その他のブランドとのパートナーシップなどから収益を得ることを目指すフェイズ・クランにとって、上場は大きな躍進といえる。
フォーブスが2020年に発表したeスポーツ企業のランキングでは、フェイズ・クランは評価額3億500万ドルで4位につけていた。このとき公表された年間売上高は、約4000万ドル。その後も増収が続いており、今年は5000万ドルに達したとみられている。ただ、リー・トリンクCEOによると、同社は現時点では利益を上げておらず、収益化は数年先になる見通しだという。
eスポーツ以外での収益化を目指す
1990年にニューヨーク州立大学オルバニー校を卒業した後、ブルックリン・ロースクールで学位を取得したトリンクCEOは、ニューヨーク州キングス郡の地区検事補を務めた。だが、数年後には音楽業界へと大幅に方向を転換。その後はキャピトル・レコードの社長に上り詰めた。
そして、2010年には自らタレント・マネージメント会社を設立。同じ年にプレーヤーたちが立ち上げたフェイズ・クランのアドバイザーに就任したのは、2016年のことだ。