銃による暴力、コロナ禍の米27州と首都ワシントンで急増

Antonio Perez/Chicago Tribune/Tribune News Service via Getty Images


研究者らは、新型コロナウイルス感染症の流行中にうつ病や心の病の報告が増えていることを指摘し、銃による暴力が増えている一因が銃器を使った自殺件数の増加にある可能性も示唆している。

しかし研究者らが指摘したところによると、死因は警察の日報が出された時点では調査中であることが多く、最近の銃関連の暴力が殺人か自殺かを警察の報告から見極めることはできない。

研究者らは「銃による暴力は頻繁に見逃されがちな公衆衛生上の病だ」と述べ、新型コロナウイルス感染症が流行を始めてからの暴力行為の増加は「この問題をこれ以上無視できないことを明確に意識させるものとなる」べきだと補足している。

子どもや若者のリスクが低い新型コロナウイルス感染症と異なり、銃による暴力の脅威はこうした集団にとってはるかに「大きな懸念事項」だ、と研究者らは述べている。

研究者らの主張は、政治的圧力とロビー活動の影響から、銃による暴力の問題を歴史的に避けてきた米国の公衆衛生機関である米疾病対策センター(CDC)の主張と同じだ。最近ではCDCのロシェル・ワレンスキー所長が、米CNNテレビの取材に対して同局の数十年にわたる沈黙を破り、銃による暴力を「深刻な公衆衛生上の危機」と表現した。

昨年の暴力犯罪の数は4年間で初めて増加に転じ、昨年はここ数十年で特に多くの死者が出た年だった。殺人や故殺、暴行が急増する一方、レイプや強盗、強盗不法侵入、窃盗などの他の暴力犯罪は減り、全体的な犯罪数も減っていた。

専門家らは、社会不安の増加や裁判所や警察の活動の中断、格差の深まり、さらには新型コロナウイルス感染症の流行によるストレスや支援ネットワークの崩壊などが考えられる要因だと示唆した。

銃の販売は、新型コロナウイルス感染症が流行してから急増し、2020年に販売された銃の数は2300万丁近くだった。これは前年と比べて3分の2の増加率だ。銃の売り上げは今年になると減ったものの、新型コロナウイルス感染症が流行する前よりもはるかに高い水準を維持していて、研究者の間では銃の販売数の増加が暴力事件の増加の要因かどうかについて意見が割れている。

翻訳・編集=出田静

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