「イカゲーム」の歴史的ヒットを生んだ、ターゲティングとタイミングの妙

世界90カ国で視聴数第1位を記録した「イカゲーム」(Netflixシリーズ『イカゲーム』独占配信中)

世界90カ国で視聴数第1位を記録した「イカゲーム」(Netflixシリーズ『イカゲーム』独占配信中)

韓国発のNetflixオリジナルシリーズ「イカゲーム」が大ヒットを記録しています。Netflixの第3四半期の好決算にも大きく寄与しました。
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英語以外の外国語のドラマシリーズが、世界トップシェアの動画配信プラットフォームであるNetflixで爆発的ヒットしたことは、各国のエンターテインメント業界にも衝撃を与えています。

なぜ、いまこのタイミングで、韓国の「イカゲーム」が世界90カ国で視聴数第1位を記録することになったのでしょうか。その3つの理由を背景要因から紐解きます。

「ブリジャートン家」をも上回る記録を達成


「イカゲーム」は、韓国を舞台に、経済的に困窮する456名の人たちが巨額の賞金を懸けてサバイバルゲームを展開するという物語。9月17日に全世界で同時配信が開始されると、その後の4週間で1億4200万世帯が視聴し、Netflix史上歴代1位の視聴数を記録しました。
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ションダ・ライムズ率いるションダランドがプロデュースする恋愛ドラマシリーズ「ブリジャートン家」がこれまで歴代1位を維持していた記録(4週間で8200万世帯視聴)も、外国語作品ではトップを走っていたフランス発のオマール・シー主演「Lupin/ルパン」の記録(4週間で7000万世帯視聴)も覆しました。「イカゲーム」は、4週間で1億世帯の視聴を突破した初の作品として、Netflixの歴史に名を刻む重要な作品となったのです。

「イカゲーム」は、Netflixの業績にも大きな影響を与えています。10月19日(米国時間)に発表された2021年第3四半期(7月〜9月)の決算は、前年同期比16%増の74億8346万ドル(約8600億円)を計上する好成績を収めました。

この期の有料加入者の増加数も、予想の350万を上回る440万となり、地域別では太平洋地域が加入者の増加に最も貢献し、純増加数全体の半分を占める220万を数えました。これで9月末時点の有料加入者は2億1356万となりました。「イカゲーム」がこの好調な決算の牽引役であったことは言うまでもありません。

「イカゲーム」は社会現象をも生み出しています。SNS上には本作をアレンジしたミーム動画が溢れ、Netflixの発表によると、TikTok上の関連動画の再生数は420億回以上になるそうです。

また、アメリカの国民的バラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の11月17日の放送分では、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」でボンドの仇役を演じた俳優ラミ・マレックが、ミュージックビデオ風のパロディ映像を公開。世界的な注目度の高さがうかがえます。


こうした反響の大きさから、Netflixは「イカゲーム」に関する「コンシューマー向け製品への需要度は高い」と考え、関連商品の販売も大々的に計画しています。ゲーム版やグッズ展開にも力を入れるSFホラー「ストレンジャー・シングス 未知の世界」と同じような扱いが今後は予想されるでしょう。
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文=長谷川朋子 編集=松崎美和子

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