ビジネス

2022.03.12

「仮想レストラン」x「100%植物由来ファストフード」 フランス発の野心

ファストフード店「ヴェジェダル」は、100%植物性由来のフードを提供する

バーチャルレストラン事業を展開する「ノット・ソー・ダーク」はこのたび、100%植物性由来のフードを提供する新しいファストフード店「ヴェジェダル」と業務提携を始める。フランス国内のみならずヨーロッパ中にこのブランドを展開させ、これまでの植物性のイメージを壊そうという意気込みだ。

世界最大のバーチャルレストランを目指して新たな段階へ


ノット・ソー・ダークは、世界最大のバーチャルレストランへ成長するという目標に向けて次なる段階へと入った。自身がもつテクノロジーとマーケティング分析に基づき、ヴェジェダルの商品を自身のデリバリーサイトで取り扱うことにしたのだ。

ノット・ソー・ダークの共同創設者であるクレメント・ベノワは次のように説明する。「デリバリーが生み出す利益は莫大なものになります。成長著しいこの市場への参入を図るヴェジェダルをサポートし、我々のシェアも拡大させていきます」。

ヴェジェダル側もこれにより、フランスのみならずヨーロッパ全土へと規模を拡大することを狙う。その注文方法は、ウーバーイーツやイーティックといったデリバリーサイトとやり方は同じで、ノット・ソー・ダークのサイトからヴェジェダルへ注文をすることができる。

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ヴェジェダル100%植物由来の商品

100%植物性のヴェジェダルの商品は、動物性のものと「変わらない」


今日、「タンパク質クライシス(世界人口の増加と新興国の生活レベル向上で、今後地球上のタンパク質需要が供給を上回るという危機予測)」や環境への懸念が世界的な問題となっている。この10年のうちに、世界のタンパク質市場において、植物性タンパク質が7.7%を占めるに至るだろうともみられている。

100%植物性由来のファストフードであるヴェジェダルが広く提供されることで、これまで「植物性」という言葉につきまとったイメージが取り払われ、もっと身近なものになる可能性はある。

なぜそう言えるのか。それは、スタイリッシュで誰もが利用でき、しかも従来のファストフードと比べても「遜色がない」と言える最先端のヴィーガンフードだからだ。

ヴェジェダルの商品は、従来からあるファストフードの定番メニューを植物由来の代替肉で作っている。ハンバーガーのパテ、タコスやナゲットの鶏肉は味も食感も肉によく似た、でも肉ではない製品に置き換えられている。野菜で作られた植物性代替肉が、本物の肉の代替品として機能するのだ。

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大豆や遺伝子組み換え食品、乳糖やコレステロールといったものも一切含まれていない。

ヴェジェダルの商品すべて100%植物由来のものであり、大豆や遺伝子組み換え食品、乳糖やコレステロールといったものも一切含まれていない。ヴェジェダルのメニュー名でいうと、ビックファイブという商品がいわゆるビックマック、ベジナゲットがナゲットということになる。 ノット・ソー・ダークのデリバリー市場と植物性の代替タンパク市場。いずれも急成長をしているこの2つを持ち合わせることで、ヴェジェダルは100%植物性由来のファストフード・スタンダードになることを目指している。

翻訳=竹若 理衣 編集=石井 節子

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