植物由来の選択肢に関しては、マクドナルドと同じファストフード界に属するバーガーキング、カールスジュニア、KFCといった数社が、すでに初期段階での成功を収めている。だがその後、バーガーキングの「インポッシブル・ワッパー」は売上低迷が報じられており、KFCの「ビヨンド・フライドチキン」も、2020年はじめの初期試験以上の販売拡大にはまだ至っていない。さらに、ダンキンとカナダのドーナツチェーン「ティムホートンズ」は、植物由来製品の提供を完全にやめている。
とはいえ、植物由来カテゴリーの勢いが止まったというわけではない。最近では、ピザハットとリトルシーザーズがこの分野に参入した。また、ピザハットの親会社ヤム・ブランズは先ごろビヨンド・ミートと、独占商品を共同開発する複数年の戦略的提携契約を締結した。
マクドナルドによる今回の動きは、植物由来カテゴリーの転機になるかもしれない。クイック・サービス・レストラン(QSR)大手である同社の試験販売がうまくいき、マックプラントの販売が拡大されれば、並ぶもののないマクドナルドの規模と利用のしやすさを考えると、植物由来カテゴリーの状況が大きく変わることはまちがいないだろう。
そして、仮に米マクドナルドのチェーン全体で販売が開始され、規模の経済が働くようになれば、代替肉と、従来の動物性タンパク質の価格が同等になる可能性は高い。価格は、代替肉の大きな難点のひとつだ。現時点では、たとえばビヨンド・ミート1ポンド(約450g)の価格は、牛肉1ポンドと比べて1.50ドルほど高い。
そして、全米1万4000店舗のどこでも植物由来のメニューを買えるようになれば、客は他のどこでも買えることを期待するようになるだろう。そうなれば、業界全体で導入がいっそう進むはずだ。
もちろん、これらはどれも仮定の話だ。いまのところ、私たちに見えるのは、マクドナルドの試験販売の「オペレーション」部分にすぎない。レストランの多くが歴史的な人手不足を乗り切ろうとしているいま、メニューに新商品を追加するのは簡単ではないだろう。だが、植物由来の代替肉の需要が本当に存在しているのなら、マクドナルドがそれを突き動かすことになるはずだ。