ビジネス

2021.10.28 08:00

大企業は社内ベンチャーを殺すのか? あるサービスの成功事例に学ぶ


社内ベンチャー戦国時代へ


そんな中、ここ5年ほどで「社内ベンチャー」の成功例が続々と登場している。
advertisement

例えば、DeNAから派生したIT企業は数多く成功している。前田裕二氏率いるSHOWROOMもそうだし、マッチングサイトのdineを運営するMrk&Coもその一つである。

また、無人決済システムでファミリーマートと提携したり、羽田空港に無人のギフトショップを出店をしたりしているTOUCH TO GOは、JR東日本から派生したベンチャーである。

Suicaの活性化からはじまり、気がつけば無人コンビニまで突っ走っていったのである。社長の阿久津智紀氏とも交流があるが、大企業のビジネスパーソンといった感じはない。以前はスーツ姿だったが、気がつけばTシャツの似合うベンチャーの顔になっていた。人は変わるのだろう。
advertisement

グリーンハウスから生まれたアプリ「あすけん」


ところで、僕は現在ダイエット中である。毎日食事を管理しているスマートフォンアプリが、「あすけん」である。1日3食のカロリー計算や食事指導をしてくれるものだ。

毎日キャラクターの「未来ちゃん」が、褒めてくれたり指導してくれたりして、僕はなんとか、一カ月半で8.2キロのダイエットに成功した。(10月中旬現在)

「あすけん」は、食べるものを撮影したり商品のバーコードを読み込んだりするだけで、食事の記録とカロリーの分析ができる。さらにアドバイスも貰える。アップルウォッチにも連動しており、運動量なども分析対象となる。現在600万人以上のユーザーを抱える大ヒットアプリへと進化した。

null
食事管理アプリ「あすけん」のデモ画面

実は、この「あすけん」アプリを運営するasken(新宿区)も、社内ベンチャーから派生した企業。親会社のグリーンハウス(新宿区)は、社員食堂などでの食事提供をはじめとして、「とんかつ新宿さぼてん」などのレストランチェーンやホテルなども運営する企業だ。

そもそも社内ベンチャーはどうやって始まったのか? 執行役員で立ち上げの中心人物である天辰次郎氏に起業の裏話を聞いてみた。

「グリーンハウスは、“食を通したお客さまへの健康貢献”を、大切な理念の一つとしています。1980年代にはコンピュータで食事栄養分析システムを開発するなどの先進的な試みも行っていました。そして、2008年から特定健診・特定保健指導制度が施行されたことなどがきっかけとなり、改めて自社のリソース(食・栄養士・ノウハウ)をネットと掛け算した健康サービスを、新たに事業化しようと考えました」

null
asken 執行役員の天辰次郎
次ページ > なぜ社内ベンチャーなのか

文=野呂エイシロウ

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事