ビジネス

2021.10.27

「オープンに」実践していく、これからの時代のSDGs


成功事例の一つとしては、昨年SDGs未来都市に選定された、宮城県の石巻市が挙げられると思います。石巻市では東日本大震災以来、高齢者の人たちがバラバラに離れた生活をすることを余儀なくされていて、高齢者の孤立防止の観点から「ロボットによる見守りサービス」や、「EV(電動自動車)」を導入した外出サポートなどを提供しています。

でも、こうした企画を地元だけで実現させるのは難しいわけです。ですから、交通手段の確保は大手企業とパートナーシップを組み、メンテナンスを地元に任せて、地元の雇用を増やすという、SDGsの理念に沿って、社会課題の解決だけでなく、環境にやさしく、経済の活性化にもつながるような仕組みづくりをしています。

天沼:次に地域のSDGsとの取り組み、さらには企業との連携について、今まさにフロントで活動している川越さんに現在のビジネスや消費者動向の大まかな傾向を伺わせてください。

川越:従来のビジネスのように利益重視という視点でSDGsを取り入れると、思うようなスピードで利益を生み出すことができないという点で難しいものがあることは確かです。

ですから、SDGsをただ単にスローガンとしてではなく、しっかりとしたビジョンと社会的なミッションを念頭に置いたビジネス展開をすることが大切だと思います。SDGsは目的ではありませんし、それをうたい文句にするだけで必ずしもお金が集まって来るというわけではありません。

また、自治体のカウンターパートは環境局などが多く、殆どの場合啓蒙啓発の予算しか持っていませんし、持続可能なビジネスとなり得ないケースも多々あります。ですから今後は自治体の予算の付け方に関しても様々な提案をしていきたいと考えています。

一方企業との連携については、ESG投資をグローバルな視点から眺めると、その額は確実に増えてきていて、資本主義の変化と共にSDGsを支援している企業の商品を購入しようとする消費者の動きが顕著に見えはじめています。また、資本主義の権化のような企業がSDGs絡みの事業に先行投資をする流れが徐々に増え、社会全体のカルチャーや消費者意識もかなり変わってきています。

天沼:利益先行ではなく、課題解決のためのビジネスを考えていくうちに新しいビジネスが生まれて来る。そして、消費意識や購入の意思決定が変化し、SDGsに特化している商品を購入するというような流れが徐々に増えてきているようですが、そうしたカルチャーの変化に対するメディアの視点については如何でしょうか?
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文=賀陽輝代 編集=谷本有香

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