優秀な人材を集めて維持できる
この新しい働き方提案は、従業員を巡るひとつの大きな問題を解決するのに有益かもしれない。その問題とは離職率だ。何しろ、シンプル・テキスティングの調査では、「週4日労働の仕事をオファーされたら、今の仕事を辞めるかどうか検討する」と回答した人が4人のうち3人にも上るのだ。
ギャラップが先ごろ発表した報告書によると、ミレニアル世代が離職することで、米経済は年間で推定305億ドルの損害を被っているという。同じ報告書では、ミレニアル世代が職場選びの際に優先する事柄の上位に、ワークライフバランスが入っている。こうした結果を踏まえると、週休が2日から3日になることは、労働者にとって魅力的だと言えるだろう。
英レディング大学が実施した研究も、こうした説を裏付けている。その報告書によると、英国の雇用主のおよそ63%が、週4日労働制を導入することは、優秀な人材を引きつけ維持するのに役立つと回答した。
従業員の生産性とウェルビーイングが向上する
先述した日本マイクロソフトによる2019年の週4日労働導入実験では、生産性が40%上昇した。同じように、ニュージーランドの造園会社パーペチュアル・ガーデン(Perpetual Garden)の創業者アンドリュー・バーンズ(Andrew Barnes)も同様の実験を行い、従業員の幸福度と生産性が向上するという結果が出た。その理由は、従業員がより手際よくスマートな働き方をしたからであって、より熱心に働いたからではない。
アイスランドの研究者も、減給せずに週4日労働制を導入すると、従業員のウェルビーイング(心身の健康と幸福)ならびに生産性が向上したことを明らかにしている。研究者は4年間にわたり、週の労働時間を35時間か36時間に短縮した労働者2500人を追跡した。その結果、「知覚されたストレスや燃え尽き症候群、健康やワークライフバランスに至るさまざまな指標において、労働者のウェルビーイングが大幅に向上した」ことが判明したのだ。従業員の生産性も、維持されたか、向上していた。
週5日40時間労働という慣行は、すでに100年近く続いており、きわめて時代遅れとなっている。従業員の生産性を測るなら、労働時間ではなく、どれだけの成果を出したのかを基準にすべきだ。では、週4日労働は未来の働き方になっていくだろうか。それが実現するのは、そのような働き方が、従業員にとっても企業の業績にとってもメリットがあり、まさにウィン・ウィンであることを、企業側が十分に理解したときだろう。