ザッカーバーグにとって、シリコンバレーの最先端の概念であるメタバースは、同社が直面する課題から逃れるための手段でもある。フェイスブックは、30億人以上のユーザーを抱えているが、若者の間での人気はこの10年間で低下している。また、反トラスト法(独占禁止法)関連で厳しい目を向けられる同社は、以前のように新興企業を買収することが難しい。
そのため、フェイスブックは、若いユーザーを呼び戻すための新たなサービスを自ら構築しなければならない。ザッカーバーグは若い層を取り込むために新たな刷新を行うと述べ、その試みが既存の高齢化したユーザーを犠牲にすることにつながることを認めた。
フェイスブックは、すでにメタバースへの注力を公言しており、そのために社名を刷新し、28日の年次カンファレンス「Facebook Connect」で発表すると噂されている。同社は、2014年に買収したオキュラスからVRヘッドセットを提供しており、「Horizon Worlds」と呼ばれる招待制のプラットフォームに、熱心なユーザーを惹きつけたいと考えている。
ザッカーバーグはアナリストに対し、「当社の目標は、次の10年間で、メタバースが10億人に利用され、数十億ドルの取引が行われるようにすることだ」と述べた。しかし、彼は「このプラットフォームを確立するためには、長い道のりが必要だ」と語り、フェイスブックのReality Labsが今後の数年間、赤字を出し続けることになると警告した。
フェイスブックはさらに、メタバースプロジェクトを率いるReality Labsを独立したユニットに移行し、第4四半期からはソーシャルネットワークのアプリ群と、Reality Labsの2つに分けて財務報告を行うと発表した。これにより、投資家はメタバースの成長過程を明確に把握することができる。