『発達障害の息子を東大に入れたシングルマザー』に聞いた、幸せに一人立ちさせる子育て

菊地ユキ氏と長男大夢君(写真:須藤明子)


思春期の反抗は「甘えている」証拠


────:上の子が15歳、ちょうど思春期で難しい年頃です。発達障害を持つ子どもがこの年代になった場合、どのように接するのが大事だと思われますか? また、大夢君は思春期に大きな変化がありましたか?

菊地氏:下の子など、小学校6年生くらいからずっと反抗期でした。それである時、「あんたの反抗期は一体いつまで続くんだ」って言ったんですね。だってもう、何を聞いても無視だし、返事もしないし、ソファとかに隣に座ろうとすると避けられるし。

そうしたら「俺は別に反抗期ではない」って言われて。「これが俺の普通だ」って。「そうか、普通だったら仕方ないかな」と妙に納得しました(笑)。「無視するのがこの子の普通だったら仕方ないかな」って。それを反抗期だって思わなければいいんだ、と。

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菊地ユキ氏

私は、思春期の子が反抗的な言葉を言うのは、基本的に「あまのじゃくで親に甘えてるからだ」と思っています。

たとえば、小さいお子さんの場合、お母さんの自分への気持ちを確認するために、「自分のわがままをどこまで聞いてくれるのか」、試すような行為をしますよね。それと似てるのかな、と思います。

思春期で成長するにつれて「かまわれたくない、ほうっておいてほしい」という気持ちになるのは、ある意味普通のことだと思います。そこで親がそっと離れてあげることが、その先の成長に繋がるのかな、と思います。

とはいえ、「手を出さず待つ!」というのは、なかなか難しいですよね。私もまだまだそこは模索中です。

────:今現在、ご心配ごとがありますか?

菊地氏:正直、今も、心配ごとと不安だらけです。今現在のことについては、まだ話せるときではないので、いつかお話できればと思います。

さかのぼると、障害がわかったときは、将来に不安だらけでした。

ですが、日々の生活では、将来のことよりも「明日の〇〇」「来週の〇〇」「今日シデカシタ〇〇」を考えて、対応していくのに必死な毎日でした。そして、成長するにつれ、「大夢は大丈夫!」と自分に言い聞かせていたかもしれません。

トイレ掃除は「自分が舐められるまで」


────:発達障害の子育て真っ最中の後輩ママたち、一番伝えたいことを教えてください。

菊地氏:みんながみんな、同じことで成功したり、同じように成長するのではありません。

また、世の中には「こうすれば……」「こんなときは……」「こうやったら……」など、さまざま情報が溢れています。

多くの知識を得たり、言葉で伝えたりするのは簡単ですが、わが子にはわが子に合ったやり方が必ずあると思います。
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構成=石井節子 編集協力=長谷川寧々

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