同社の株式は、ヒンドゥー教のお祭りのディワリから1週間後の11月11日にインドの証券取引所に上場する予定だ。
ナイカの創業者でCEOのナヤル(58歳)は、夫のサンジャイ・ナヤル(米プライベート・エクイティKKRのインド支社のCEO)と2人の子供とともに、ナイカの株式の54%を保有している。
ナヤルは、バイオテクノロジー企業Biocon創業者のキラン・マズムダル・ショウに次ぐ、インドで 2 番目のセルフメイド(叩き上げ)の女性富豪で、彼女の保有資産は、IPO後に38億ドル(約4320億円)に増加する見通しだ。
コンサルティング会社Technopakによると、インドの美容及びパーソナルケア市場は2018年の130億ドルから2023年には230億ドルに成長する見通しという。ナイカは現在、40都市に80店舗を展開しているが、売上の97%をオンライン販売から得ている。
パンデミックにもかかわらず、ナイカは売上を大きく伸ばしている。2021年6月30日までの3カ月間の、ナイカのGMV(流通取引総額)は1億9800万ドルで、売上は1億1000万ドル、利益は47万4000ドルだった。
同社の2021年3月までの1年の売上は、その前の年の2億3600万ドルから3億3400万ドルに増加した。また、前年度が200万ドルの赤字だったのに対し、今年度は800万ドルの黒字だった。ナイカは、IPOの前に黒字化を果たした数少ないスタートアップと言える。
同社は、IPOで調達した資金を、新規店舗や倉庫の新設、ブランドの認知度向上に充てる予定だ。ナイカは、Z世代のトレンドセッター、ライフスタイルブロガー、セレブリティなど、3000人以上のインフルエンサーと連携している。
ナヤルは、クリニークやボビイブラウンなどの国際的な美容ブランドを含む高品質な化粧品をインドの消費者に提供することを目的に、200万ドルを投資してナイカを設立した。彼女は20年間勤めた投資銀行を辞めて、美容の世界に飛び込み、オンラインショップを立ち上げた。ナイカという社名は、サンスクリット語で「スポットライトを浴びる人」を意味する単語のNayakaに由来する。
「ゼロから何かを生み出す旅を体験したかった」と、ナヤルは2019年のフォーブスアジアのインタビューで話していた。