マスターカードは、25日に発表した声明の中で、米インターコンチネンタル取引所(ICE)の子会社である「バックト(Bakkt)」と提携し、米国内のパートナー企業に暗号通貨プロダクトとサービスの提供を開始すると發表した。
この提携により、銀行などの企業は従来のロイヤルティポイントの代わりに、顧客に決済のリワード(報酬)として暗号通貨を提供できるようになり、顧客は暗号通貨を買い物の支払いに用いることができるようになる、とマスターカードは述べている。
銀行はまた、暗号通貨に対応するデビットカードやクレジットカードを発行できるようになる。これに類似した試みは、Visaがすでに実施中だ。
この発表を受けて、先週ニューヨーク証券取引所に上場したバックトの株価は86%以上の上昇となり、設立3年目の同社の時価総額は8億5000万ドル(約967億円)に達した。一方、マスターカードの株価は、わずか0.4%の上昇だった。
マスターカードは、以前から暗号通貨領域への投資を行ってきた。同社は先月、シリコンバレーに拠点を置く暗号通貨の取引データ分析を手がけるサイファートレース(CipherTrace)を、非公開の金額で買収し、「デジタル資産は商取引を再構築する可能性を秘めている」と述べていた。
マスターカードは以前に、フィンテック企業のUpholdと暗号通貨取引所のジェミニ(Gemini)と提携してコミュニティ限定の暗号通貨クレジットカードを作成しており、各国の政府が中央銀行のデジタル通貨をテストするためのプラットフォームの開発も行っていた。
暗号通貨市場は、過去1年間で約3倍に成長し、時価総額は2.7兆ドルに急拡大した。先週は、米国初のビットコインETFの販売が開始されたことで、ビットコインの価格が約20%上昇し、史上最高値の約6万7000ドルをつけていた。