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ペイパルがピンタレストの買収を検討していると報じられている。ピンタレストの電子商取引(EC)事業と自社の決済システムを組み合わせて使えるようにしたい考えのようだ。この案が良いアイデアに聞こえるとしたら、それは実際そのとおりだからだ。また、ペイパルは以前にECサイトと組んでいたという事情もある。

ペイパルは2015年までイーベイの傘下にあり、消費者はイーベイのECサイトで販売されている商品を、ペイパルの決済技術を利用して購入することができた。同年にイーベイから分離されて以来、ペイパルはEC分野へ復帰する機会をうかがってきたようである。

報道内容は現時点で確認されていないものの、この大型買収が実現すればテクノロジー業界ではここ数年で最大級の買収になる。ペイパルはイーベイのもとで携わっていたEC事業を再び手にするかたちになる。これは、そもそも大手企業がEC部門を切り離すという戦略は正しいのか、大きな疑問を投げかけるものにもなるだろう。

伝統的な小売業界を見ると、たとえばハドソンズ・ベイは傘下の百貨店サックス・フィフス・アベニューを実店舗部門とEC部門に分離し、後者については上場も計画している。百貨店のメイシーズについても今月、投資家グループが同様の要求をしている。

ピンタレストの主な事業はデザインやレシピ、日々のアイデア、画像などのスクラップブッキングだが、最近になってECサービスのショッピファイと連携したり、サードパーティーの販売者から広告を受け入れたりして、サイトから商品の販売にも乗りだした。ペイパルにとって、ピンタレストの成長しているEC部門は非常に魅力的に映っているはずだ。

ピンタレストにとっても、ペイパルと連携すればユーザーの商品購入がより手軽で素早くできるようになるメリットがある。この点に疑問を呈する人はほとんどいないだろう。だとすれば、13年前、なぜイーベイはペイパルを切り離したのか。

当時、イーベイの最高経営責任者(CEO)だったジョン・ドナホーは、両社が結びついていることにはもはや経済的な意味がなくなったと述べ、イーベイとペイパルが別々の企業になれば「グローバルな取引と決済というそれぞれの分野で将来の成功を追求していくうえで、注力分野をしぼり、柔軟性も高まる」との認識を示していた。サックスやメイシーズについても似たようなことが言われている。

もちろん、ペイパルによるピンタレストの買収案件が実現したあかつきには、両社の経営陣がシナジー効果や事業の補完性について語ることになるのだろう。サックスやメイシーズが実店舗事業とEC事業の分離はあまり良い案ではないと判断した場合も、そうした言葉が聞かれるに違いない。

米国の産業界では、巨大企業の統合や分離、再統合が何世代にもわたって当たり前のように繰り返されてきた。正確に数えられたことはないが、企業間の「離婚」は「結婚」よりも(少なくとも当の企業にとっては)うまくいかないことが多いようだ。

当座の勝者は、短期的に配当や報酬を得られる株主やコンサルタント、法律顧問、ストックオプションの行使権をもつCEOらかもしれない。さらに、企業が離別のトラウマによって取り返しのつかないダメージを受けていたとしても、あとで「復縁」すれば、彼らの多くは再び配当なり報酬なりを得られることになる。

これを「ハンプティー・ダンプティー症候群」と呼ぼう。

編集=江戸伸禎

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