30U30

2021.10.26

20歳の環境活動家が次世代のために届ける「科学の声」

環境活動家 酒井功雄

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」。

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、アクティビスト部門の受賞者として選出されたのが、酒井功雄だ。



CO2の排出に対して、ノーを突き付ける若者が世界各国で声を上げている。酒井功雄は弱冠20歳の環境活動家として活動する。


──きっかけは?

0歳と5歳の妹がいるのですが、このままのCO2排出を続けると彼女たちが気候変動と共生する世代になる。しかし、彼女たちはまだ気候変動について学んだり、行動することはできません。現代の“つけ”を払う側が何もできない不平等さに対して、行動しなければと思いました。

──若者たちが行動する原動力はどこにあるのか。

世代間不平等は大きく、いまの世代が享受していることができなくなるかもしれないという怒りはモチベーションになっています。

──具体的には何をしている?

大きな反応があったのは三菱商事などがベトナムで進めていた石炭火力発電所の建設反対キャンペーンです。グレタ・トゥーンベリさんなどと協力して、関係する金融機関や商社に質問状を送りました。日本のエネルギー基本政策のパブリックコメントへ市民の声をできるだけ反映させる活動や、知識発信のため、気候学者やエネルギー研究の専門家を呼んでウェブセミナーの開催もしています。

──現在の環境で得た最大の教訓は?

それぞれの文化に合った発信をしないといけないということ。海外の取り組みをただ輸入するだけではいけません。

──「Fridays For Future Tokyo」の目標は?

まずは地球の温度上昇を産業革命以前から1.5度以内に抑えること。国連なども指摘しているが、1.5度を超えると気候変動が不可逆的に進んでしまう。すると、歴史的にCO2を排出していない南半球の土地が海面上昇 や干ばつ、台風の被害を受ける。食い止めるために、政策決定者が「科学の声」を聴かないといけません。


さかい・いさお◎2001年生まれ。グレタ・トゥーンベリに賛同する運動の日本版、「Fridays For Future Tokyo」の設立に携わり、国政に対する提言や、国内外との連携に従事。

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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