ザッカーバーグの記録を突破する可能性も
FTXは、今年7月のシリーズBでソフトバンクやコインベースなどの投資家から約10億ドルを調達し、その際の評価額は180億ドルとされた。同社はこれまで、米国以外の海外の顧客向けにデリバティブ商品を提供してきたが、バイナンスやコインベース、クラーケンなどの競合に先駆け、米国でもデリバティブ取引を提供するための準備を進めている。
さらに、ブランディングの強化を図るFTXは、それぞれ2億1000万ドルと1億3500万ドルの巨費を投じて有名eスポーツチームTSMと、NBAチーム「マイアミ・ヒート」のアリーナの命名権を獲得した。また、3000万ドルの広告キャンペーンを通じてFTXを宣伝し、プロモーション動画に「Shark Tank」のスターであるケビン・オレアリーや、NFLの伝説的選手のトム・ブレイディらを起用した。
バンクマン・フリードの直近の目標は、設立間もないFTXを、安全で信頼性が高く、規制に沿った取引所にすることだが、長期的には、自身が稼いだお金をすべて慈善団体に寄付することを目指している。
彼の265億ドルの資産のほとんどは、FTXの株式や、独自の暗号通貨のFTXトークン(FTT)、その他の暗号通貨などだ。バンクマン・フリードは、それらをすぐに現金化するのではなく、時間をかけて価値を高め、最終的に数十億ドル以上の寄付を行う計画だ。
そして、その計画は順調に進んでいる。新規の4億2100万ドルの調達は、今年の夏の10億ドルの調達からわずか3カ月後のことだった。あと4カ月で30歳になるバンクマン・フリードが、ザッカーバーグの20代の記録を塗り替える可能性も残されている。