コロナとの「共生」戦略、目指す各国で感染者が再び急増

シンガポールの学校(9月15日撮影、Getty Images)

新型コロナウイルスの感染者が再び急増しているシンガポールやロシア、中国など一部の国が、行動制限を再度強化する方針を取り始めている。各国が目指してきた「ウイルスとの共生」の実現は、そう簡単ではなさそうだ。

シンガポールでは現在、感染拡大を抑制するため、2人以上では集まらないこととするなどの措置を講じているほか、仕事は在宅勤務とすることを奨励している。保健省は10月20日、これらの実施期間を11月21日まで延長すると発表した。

ブルームバーグの集計データによると、シンガポールでワクチン接種を完了した人の割合は現在、82.1%。世界で最も接種率が高い国のひとつだ。同国では今年6月には、1日に報告される新規感染者は20人以下だった。

だが、「コロナとの共生」を目指す戦略に転換した8月中旬以降、感染者が増加。最近の1日当たりの新規感染者は、平均3300人となっている。

一方、感染対策のために実施していた規制を7月にほぼすべて撤廃した英国も、感染者の急増に直面している。1日に報告される新規の感染者は4万人を超えており、医師らは政府に対し、マスク着用の義務化などを求めている。

そのほか、ロシアと中国は一部の都市で、感染者の増加を受け、再びロックダウンを実施している。

オーストラリアは「独自」路線


感染拡大によりロックダウンを実施していたオーストラリアは、依然として感染者の増加が続く状況だ。だが、ワクチン接種率の上昇を受け、独自の「共生」戦略に転換している。

すでに接種対象者の70%以上が少なくとも1回の接種を受けた同国は、接種完了者が80%を超えたところで、感染対策のために現在導入している規制をほぼ完全に撤廃する計画。11月上旬には、実現される見通しだ。

同国で1日に報告されている新規感染者は、平均およそ2300人。パンデミックの発生以来、最も高い水準にある。医療関係者は、方針の転換は時期尚早であり、状況をさらに悪化させることになると懸念を表明している。

編集=木内涼子

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