感染症学のジャーナル、Journal of Infectious Diseasesに先ごろ発表されたこの調査結果は、学校に通う児童、生徒たちと保育所などに預けられる幼児たちを守ること、市中感染の拡大を防ぐことが、緊急の課題であることを改めて示すものだ。
調査は検査で陽性と判定された、無症状者を含む生後2週間から21歳までの未成年110人(年齢の中央値は10歳)を対象に実施した。調査対象者のうち、入院が必要になったのは33%(36人)。さらに、非侵襲的呼吸管理、または(気管内挿管などによって肺に人工的に酸素を送り込む)侵襲的呼吸管理が必要となったのは16%(18人)だった。
最も感染力が強く、他の人にうつす可能性が高かったのは最初の5日で、年齢とウイルスの量に関連性はないとみられている。また、ウイルス量と重症化にも、関連性は確認されなかった。無症状または軽症だった未成年の一部は、入院が必要になった成人と比べ、ウイルス量がかなり多かった(症状が出ていた期間は、いずれも同じ)。
高まる子どもたちのリスク
研究チームは、感染した54人から採取した57のサンプルについて、ウイルスの全ゲノムシーケンス解析を実施。その結果、同じ時期に同じ地域で感染した人たちのウイルスを解析したのと同様の結果が得られた。
そのデータが示すのは、感染した子どもたちは、その時点で流行しているウイルスの感染を広げるスプレッダーになりうるのと同時に、新たに生まれる変異株の宿主にもなりうるということだ。
新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、小児に関するデータの収集は、成人ほどには行われていない。それが、公衆衛生に関して当局が示す指針を複雑で分かりにくいものにしている。