ポップな「MINI」のハイパワー仕様の走りは、クルマ好きにはたまらない

MINI ジョンクーパー・ワークス・クロスオーバー


イグニションボタン
MINI独特のイグニションはギミック感満載

パワーユニットもこの派手な仕様にいかにも相応しい。JCWクロスオーバーに搭載される2リッター直4ターボエンジンは、旧型モデルよりも、75PSと100Nm上回る最高出力306PS、最大トルク450Nmを発生する。これは、専用ピストン、強化クランクシャフト、新しいターボチャージャー、新設計のツインエキゾーストパイプなどの採用によって達成されたものだという。駆動方式はもちろん「ALL4」という4WDだ。このエンジンに、シフトが気持ち良いほど素早い専用開発の8速ATと組み合わせている。またこの強烈なパワーを止めるのには、拡大された360mmのブレーキローターを装備している。

当然ながら、車重1670kgでもこのJCWの加速は非常に力強い。冒頭ではゴーカート感覚と書いたけど、まさにそれだ。アクセルをベタ踏みしたら、まるで昔のドッカンターボみたいなフィーリングで懐かしい。ブーストが上がるまで多少ターボラグもあって、何かアナログ好きなドライバーにはたまらない気持ちだ。最高速が250km/h、0-100km/h加速のタイムは5.1秒と公表されているけど、それより速い感じがする。低速で走行している時に、急加速したら、8速ATがパパッとダウンシフトして、エキゾーストから鳴るノートはまるでジャーマンシェパードが「ワンワン!」と吠えている印象で血が騒ぐ。

横から見たJCW
19インチにサイズアップしたタイヤが力強い印象だ。

ブレーキもゴーカート感覚だ。というのは、確かに、ストッピングパワーは申し分ないけど、ブレーキペダルのトラベル(動く距離)がかなり短く、ちょっと過敏な感じがする。丁寧にペダルを踏まなければ、クルマは急停止をしがち。やはり、同車はMINIのハイパフォーマンス仕様だからこそ肝心のセッティングを思い切りスポーツ走行に振っていると感じた。ステアリングは多少軽いにしても、狙ったラインをとても正確にフォローしてくれる。また、乗り心地もハードに振ってあるけど、市街地では気にならない程度。

MINI JCWクロスオーバーのルックスは迫力満点だし、走りも限りなくゴーカート感覚なので、昔のスポーツカーのフィーリングや音を好む人にはうってつけのクルマだと思う。一般道での毎日の走りももちろん楽しいけど、ゴーカート気分を味わう趣味のクルマやセカンドカーとしても楽しさ満載だ。4WDで306psのハイパワーの同車の本体価格は609万円から。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

文=ピーターライオン

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