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レニアス代表取締役 前田 導

ポリカーボネート樹脂(PC)製品を手がける広島県三原市のレニアスが、生産体制の強化を進めている。2020年には、20億円の設備投資を実施。新たな大型射出成形機を導入中だ。代表取締役の前田導は、「26年3月期には、売り上げを現在の約2倍にあたる100億円に引き上げる」と強気の姿勢を示している。

PCは、CDやDVD、スマートフォンの筐体、メガネのレンズなど、さまざまな領域で採用されている高機能樹脂で、ガラスと同等の透明度ながら、重量はその半分、強度は250倍を誇る。レニアスが得意とするのはPC製の「窓」で、国内の建機市場では樹脂窓の9割以上を製造している。

同社にとって、大型の設備投資は今回が初めてではない。14年には、独自技術を開発するため、当時の売り上げの約2倍に相当する50億円もの資金を調達し、世界最大規模の射出成形機とハードコート設備を導入。これを用いた製法によって従来の押出しシート成形の課題だった表面歪み、外観品質が飛躍的に改善され、視界性が重要視されるさまざまな窓に適用されることになった。「RENCRAFT」と名付けられたそのPC製品は、世界最大の農機メーカーの大型機械に採用されるなど、その後、世界中で実績を上げている。

20年はコロナ禍で一時受注が減少したものの、レニアスは以前から事業ポートフォリオの最適化を繰り返し行っていた。減産分を新規開拓でカバーする戦略も功を奏し、受注は回復。「今年に入ってからは過去最高の生産高と利益率を更新している」。設備の稼働率は早期に100%を超える見込みで、20億円の設備投資はこれを見越したものだ。

レニアスが数十億円の資金を調達できるのは、徹底した市場分析のもとで独自技術を確立し、高い収益性が認められているからだ。前田いわく、100億円の売り上げは「ひとつの通過点であり、これからポテンシャルを発揮していく」。三原市が世界に誇る「小さな巨人」は、近いうちに本当の巨人に進化するかもしれない。


まえだ・とおる◎1978年、広島県尾道市生まれ。山口大学大学院技術経営研究科中退。海上自衛官として防衛庁で勤務後、2006年にレニアスに入社し、08年より現職。「Forbes JAPAN SMALLGIANTS AWARD 2019-2020」ではグローバルニッチ賞を受賞。

文=眞鍋 武

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