「メガブランド信仰」の薄れに勝機
もちろん、ただ新商品を発売するだけでは潜在顧客の認知を得られない。そこで実践しているのが「ブランドの存在意義」や「ストーリー」の発信を中心とした、コミュニケーション施策だ。「まずはブランドの考え方を知っていただき、それに共感していただくことで、ファンを増やしたいと考えています」
コロナ前は、マスメディアに大量の広告を打つメガブランドの商品を手に取る消費者も多かったが、コロナ禍で状況は一変した。在宅時間の増加に伴い、スマートフォンなどデジタルツールの視聴時間が増え、消費行動にも影響を及ぼし始めている。
大脇は「コロナ禍では、購買意識が明確になり、個人の趣向に合った商品やサービスが選ばれやすい傾向にあります」と、消費者の“メガブランド信仰”の薄れに勝機を感じ取る。
そのため、テレビなどの「マス広告」ではなく、SNSやインフルエンサーを活用した「ウェブマーケティング」を中心に行っている。
ただ、雑誌のタイアップ広告は例外だ。デジタルと対極とも言える紙媒体は一聞すると意外な戦略だが、「雑誌はターゲットが明確ですし、そのコンテンツはデジタルのように一瞬で消費されることがありません。ブランドの考えを届けたい方にしっかり伝えることができると考えています」と大脇。
今後の成長の鍵は「コミュニティ」
今後は、コロナ禍で獲得した新規ユーザーを、いかにロイヤル顧客化していくかも課題だ。つまり、「入浴剤を使う」ことをいかに習慣化させ、継続的な購入、さらには別の商品の購入にもつなげられるか、である。
大脇はこの点に関しても、すでに成長の種を蒔いている。2022年に向け、ECサイトを兼ねたコミュニティサイトの開設を準備しており、そこでは、製品販売のほかに、ユーザーとのコミュニケーションを高めるコンテンツを盛り込む予定だ。
「単なるECではなく、ユーザーにブランドのファンになっていただくことを目的としています。ゆくゆくはサイト上のファンコミュニティから、マーケティングのヒントを得られると良いなと考えています」
さらに、販売チャネルである小売店やバイヤーのコミュニティも大切にしている。「クナイプの商品は、小売店側にもファンが多いんです。ブランドに共感していただき、店頭で積極的に紹介していただけるので、とてもありがたいことです」