ビジネス

2021.10.24

着られずに捨てられる服をアップサイクル。原宿にできた「ラボ」は何を生むのか?

原宿に誕生した「NewMake Labo」


蓋を開けてみると「熱意」ある若者ばかり


オープンから約3カ月が経った現在、会員数は465人。アパレル業界を中心に社会人として5〜7年のキャリアを積んだ人が多く、平均年齢は27歳だという。なお、経験を問わず誰もが会員になることができ、選考もない。

会員に共通しているのは、サステナビリティに対する熱い想いがあること。会員の申込フォームには、ヒアリングのため「興味を持った理由」や「やってみたいこと」を書く欄があるのだが、細川はその熱意に驚いたという。

「個人では何もやりようがなくて困っていた、という方が多くて。専門学校を卒業すると、仲間と一緒に作品制作をする機会が少なくなってしまうので、『コミュニティで仲間を見つけたい』というニーズもありました」

null
STORY&Co.の細川拓CEO

「アディダス」など大手ブランドが協力


このような熱量の高い会員に、企業側も期待をかける。スタート前から、ミッソーニ、アディダス、ニューバランスなど15を超えるブランドが素材提供に協力した。近年のサステナビリティ機運の高まりで、ブランド側もリメイクへのハードルが低くなっているとみられる。

「ブランドさんにご協力いただいた理由を聞くと、ファッションへの関心が高く、かつ環境意識も高いクリエイターの方々に、ブランドのサステナビリティに対する姿勢について理解・共感いただきたいという声が多かったですね。彼らを巻き込みながら最終的には消費者へと伝えていきたい、という想いがあるようです」

そのため作品制作の参加者には、ブランドのストーリーを理解してもらうために、企業による「オンライン講習会」の受講を必須としている。それを受けてリメイク作品のデザインを考え、応募する仕組みだ。扱うブランドは約1カ月ごとに入れ替え、毎回会員の中から参加メンバーを募集する。応募者多数の場合は、デザイン画などを元に提供素材の数などに合わせて選考される。

選ばれた参加者は、ラボを使って2〜3週間ほどで作品を制作。完成品はラボで展示される。今後はオークションでの販売も視野に入れているという。

「扱う商品によって、アップサイクルに必要なスキルも異なります。同期間に数十人のデザイナーが選ばれるのでそのスキルを持つ人が、持たない人に教えてあげるなど、お互いに学び合うことができる点もコミュニティのメリットです」
次ページ > 百貨店の「余剰在庫」に疑問

文=田中友梨

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事