企画したのは、アートディレクターの古谷萌と、店舗デザインなどを手掛ける「method.」のバイヤーの山田遊。古谷は、広告や商品開発のデザイン制作をする傍ら、日々直面する現代社会が抱える問題や矛盾に対し、自身の声を発信することを目的にした「vermilion(ヴァーミリオン)」にも取り組んできた。
今回の「Go To VOTE」は、vermilionの新たなプロジェクトとして始動。ストア内には、候補者のポスターが貼られる掲示板を模したオブジェクトや、投票記載台を設置し、まるで本物の「投票会場」のような空間をつくった。
グッズを購入する際は、投票用紙を模した「購入用紙」に鉛筆で記入し、スタッフに手渡す仕組み
会場では、ポスター2種(計1000枚)を無料配布するほか、「非公式選挙グッズ」としてTシャツ(5000円)やステッカー(1100円)を販売している。
日常に寄り添うクリエイティブで、カジュアルに参加意欲を後押しする本プロジェクトに込めた想いを聞いた。
「風刺漫画」よりカジュアルに
2019年、古谷は絶望していた。世界ではテロが起き続け、核開発のニュースも入ってくる。隣国の香港では民主化デモが激化していた。
「すごく近い国が壊されていくのを目の当たりにして、本当に自分たちの日常もなくなっちゃうのかな、と強く思いました。このまま見ないふりをしてオリンピックをやるというのも何か違うよな?と。そこで、自分が今までクライアントワークで培ってきた技術を使って、社会に対してメッセージを発信するアートワークをつくりたいと考え、2020年に立ち上げたのがvermillionです」
社会に対してブラックユーモアで対峙するアートといえば「風刺漫画」がある。古谷は、新聞や雑誌に掲載されるそれとは違い、もっとカジュアルで“日常”に溶け込むような作品を目指している。