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空売りで知られる投資会社のヒンデンブルグ・リサーチが10月19日、暗号通貨の「テザー」社の財務準備金に関する未公開の情報に、100万ドルの報奨金を支払うと発表した。

EV(電気自動車)メーカーのニコラや、クローバー・ヘルスに空売りを仕掛けたことで知られるヒンデンブルグは、金融の安定性を損なう危険性が指摘されるテザーのステーブルコインの疑惑に、世間の注目を集めようとしている。

ヒンデンブルグは19日、「テザー懸賞金プログラム(Tether Bounty Program)」の開始を発表した。同社によると、テザーは、準備金のかなりの部分をコマーシャルペーパーで保有していると主張しているが、取引相手や財務リスクにさらされる可能性のある人々や企業について、「ほとんど情報を開示していない」という。

ヒンデンブルグは、「我々はテザーの正当性に疑問を持っている」と述べ、暗号通貨の取引を容易にするために、価格を1ドルに固定しているテザーのステーブルコイン「USDT」には投資しないと述べた。

米商品先物取引委員会(CFTC)は、テザーが、同社のUSDTが米ドルに完全に裏付けられていると「虚偽や誤解を招く表現」を行なったとして訴訟を起こし、テザーはこの訴訟で4100万ドルを支払い、和解していたことが10月15日に明るみに出た。これを受けて、ヒンデンブルグは今回の懸賞金プログラムを立ち上げた。

CFTCによると、テザーが2016年6月から2019年2月までの間、USDTの価値の裏付けのために保有していた法定通貨は、USDTの価値の約27%に過ぎなかったという。

テザーは声明で、ヒンデンブルグの懸賞金を、「注目を集めるための哀れな入札」と呼び、20日にビットコインが史上最高値をつけたことが、「誰もがヒンデンブルグの浅はかさを見抜いていることの証拠だ」と述べた。

「テザー社は数兆ドル規模の暗号通貨市場を支える重要な企業だが、同社の保有資産に関する情報開示は不透明だ」とヒンデンブルグは19日に述べた。

SEC委員長もステーブルコインを警戒


2014年に設立されたテザーは、世界最大のステーブルコインの発行元となり、USDTの時価総額は700億ドル近くに達し、世界の暗号通貨のトップ4に数えられている。ステーブルコインの支持者は、USDTが投資家を市場のボラティリティから守ると同時に、取引を容易にしていると述べている。

しかし、規制当局は、ステーブルコインの発行者が十分な担保を維持できない場合、市場の安定性にリスクをもたらす可能性があると警告している。

「ステーブルコインは今、カジノのポーカーチップのように振る舞っている」と、SEC(米証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長は、先月のワシントンポストのインタビューで述べていた。

ゲンスラーは、取引や融資のプラットフォームで人気を集めているステーブルコインが、十分な担保で保証されて居ない場合、「問題が発生するのではないか」と危惧し、「率直に言って、そうなれば多くの人が被害を被ることになる」と述べていた。

編集=上田裕資

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