「イカゲーム」は出演俳優たちの人生をどう変えたか

米「ザ・トゥナイト・ショー」にも出演 (Photo By: Sean Gallagher/NBC/NBCU Photo Bank via Getty Images)

米「ザ・トゥナイト・ショー」にも出演 (Photo By: Sean Gallagher/NBC/NBCU Photo Bank via Getty Images)

ネットフリックスで配信されている韓国のテレビドラマシリーズ『イカゲーム』は、配信開始からたった2週間で視聴回数の記録を塗り替え、全世界およそ90カ国で視聴ランキング1位に躍り出た。
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ファン・ドンヒョクが監督、脚本を手掛けた本作品は、生活困窮や借金に苦しむ456人が謎の恐ろしいゲームに参加するというストーリー。

ルールはシンプルだ。6日間かけて、韓国で昔から子供の遊びとして親しまれているさまざまなゲームで競い合う。だが、負けたときはゲームから脱落するだけでなく、その場で死を迎える。参加者が1人死ぬごとに、優勝者がもらえる賞金は増えていき、最終的には456億ウォン(約3850万ドル)になるという設定だ。

この企画は当初、多くのプロデューサーから、商業的な成功は無理だと言われていた(ファン・ドンヒョクは10年以上も出資者を見つけられなかった)。にもかかわらず、ネットフリックス配信の外国ドラマとして最大の人気を博し、それまで1位だったスペインのドラマ『ペーパーハウス』を抜いたばかりか、ネットフリックス広報によれば、同サービスで史上最多の視聴記録を叩き出している。
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韓国では、ネットのトラフィックが集中しすぎたせいで、インターネットプロバイダーからサーバー運営を維持できないという声明が出たほど。主な登場人物を演じた俳優たちも、あっという間に韓国国内で、そして世界で大スターになった。ここでは主な登場人物を演じた俳優たちのキャリアとプライベートに注目し、彼らの人生が公私ともに一変した様子を紹介しよう。

イ・ジョンジェ(役名ソン・ギフン、No.456)



イ・ジョンジェ(役名ソン・ギフン、No.456)GettyImages
写真はイ・ジョンジェのインスタグラムから

イ・ジョンジェが演じたのは、主人公のソン・ギフン(No.456)。働いていた工場をクビになり、離婚して、その後は母親と同居している負け犬だ。病的なギャンブラーでもある。イ・ジョンジェ自身はモデル活動を経て、1993年のテレビドラマ『恐竜先生』出演をきっかけに、映画界でも活動を始めた。『イカゲーム』出演前まではインスタグラムのアカウントを持っていなかったが、先頃ページを開設すると、たった1週間で250万人以上のフォロワーを獲得した。ジミー・ファロンが司会を務めるアメリカの深夜トーク番組に出演したときには、『イカゲーム』のプレミア公開後から韓国のみならず、世界中から映画の出演依頼が舞い込むようになったと語っていた。

オ・ヨンス(役名オ・イルナム、No.001)



オ・ヨンス(役名オ・イルナム、No.001)
『イカゲーム』のワンシーン

76歳の俳優オ・ヨンスは、脳腫瘍を患う老人オ・イルナム(No.001)に扮した。オ・ヨンスはこれまでに、韓国の映画祭で2冠に輝いた映画『春夏秋冬そして春』、時代劇ドラマ『善徳女王』など、多数の作品に出演している。『イカゲーム』で彼が演じた老人は、ゲームで手を組む主人公ソン・ギフンのことを、何度も「カンブ(仲の良い相棒、兄弟という意)」と呼ぶ。作品配信後、大手ファストフード・チェーン「カンブチキン」から広告への出演オファーを受けたが、これを断った。


米「ザ・トゥナイト・ショー」に出演した際のパク・ヘス(役名チョ・サンウ、No.218)GettyImages

チョ・サンウ(No.218)は投資に失敗し、詐欺罪で警察に追われ、借金返済の資金を得るためにゲームに参加したという設定の人物だ。この役を演じた俳優パク・ヘスは、韓国ではドラマ『刑務所のルールブック』や『青い海の伝説』などの出演で知られている。『イカゲーム』のヒットを受けて、ネットフリックスが制作するスペインのドラマ『ペーパーハウス』の韓国リメイク版で、「ベルリン」と呼ばれる役に起用されることになった。

チョン・ホヨン(役名カン・セビョク、No.067)



米「ザ・トゥナイト・ショー」に出演した際のチョン・ホヨン(役名カン・セビョク、No.067)GettyImages

脱北者カン・セビョク(No.067)を演じたチョン・ホヨンは、これが女優デビュー作。16歳からモデルとして活動し、ジャックムスやバーバリー、アクネなど多数のブランドのショーに出演してきた。『イカゲーム』配信開始から3週間で、インスタグラムのフォロワーは1500万人を突破。それまでは約40万人だった。新しいファンが増えたことで、今の彼女はインスタグラムで最も人気の韓国女優だ。また、配信から程なくしてルイ・ヴィトンからのオファーがあり、新しい広告キャンペーンのアンバサダーに就任した。

ホ・ソンテ(役名チャン・ドクス、No.101)



ホ・ソンテ(役名チャン・ドクス、No.101)
写真はホ・ソンテのインスタグラムから

ギャングで悪人のチャン・ドクス(No.101)を演じたのは、今年44歳の俳優ホ・ソンテ。しかし、役者としてのキャリアはつい最近始まったばかりだ。釜山大学でロシア語を学び、数年前までLGエレクトロニクスのロシア営業部門で働いて、ロシアへのテレビ販売事業を担当していた。そのため、ロシアの『イカゲーム』ファンの間では、特に人気がある。インスタグラムの投稿、とりわけロシアウォッカ「バイカル」の写真を投稿したときには、ロシア人ファンが多くのコメントを書き込んだ。

アヌパム・トリパシ(役名アリ・アブドゥル、No.199)



アヌパム・トリパシ(役名アリ・アブドゥル、No.199)
写真はアヌパム・トリパシのインスタグラムから

韓国ドラマでパキスタン系やインド系の俳優が登場するのはめずらしく、起用されるときは移民労働者の役が多い。『イカゲーム』に出演したインド系俳優アヌパム・トリパシも、パキスタンからの出稼ぎ労働者アリ・アブドゥル(No.199)に扮した。インド出身で、2010年に渡韓し、韓国芸術総合学校で学んだ。映画デビュー作は2014年の『国際市場で逢いましょう』。その後も脇役としてさまざまな映画に出演した。『イカゲーム』配信後、インスタグラムのフォロワーは250万人を超えた。フォロワーの多くが、彼が出演するコメンタリー映像の公開を求めている(ネットフリックス作品は、出演者によるオーディオコメンタリー映像をユーチューブで数多く公開している)。

翻訳=上原裕美子 編集=石井節子

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