グラミー賞が「白人優位の撤廃」へ、ダイバーシティ目標を公開

2年連続で最優秀レコード賞を受賞しているビリー・アイリッシュ(Rachel Luna/FilmMagic)

2年連続で最優秀レコード賞を受賞しているビリー・アイリッシュ(Rachel Luna/FilmMagic)

音楽業界の祭典「グラミー賞」の主催者であるレコード・アカデミーは、1月に開催される第64回授賞式の多様性を高めるための手順を記載した書面を10月19日に公開した。グラミー賞は長年、白人に有利な選考を行っているとの批判を浴びており、主催者側は、変化を起こそうとしている。

公開された8ページに及ぶ書面は、レコーディング・アカデミーとイベント制作会社が契約を結ぶに当たっての「インクルージョン・ライダー」と呼ばれる付帯条項を記したもので、来年1月31日に予定されている授賞式において「あらゆるレベルでの公平性とインクルージョン」を確保するための手順が詳細に記載されている。

この規約は、授賞式に向けての採用や雇用における「フレキシブルな目標」であり、「ノルマ」ではないとされているが、レコード・アカデミーは、女性、障がい者、高齢者、LGBTQ+、黒人、先住民などの人々の賞での取り上げられ方を追跡するという。

また、ホストやプレゼンター、パフォーマーの候補者のうち、少なくとも3分の1はこれらのグループの出身者であることを目標としている。さらに、参加者やスタッフのために性別を問わないトイレを会場に設置することなども規定されている。

「インクルージョン・ライダー」という概念は、南カリフォルニア大学のステイシー・スミス博士が、女性や人種的マイノリティ、障害者を映画やテレビに登場させる機会を増やす方法として考案したもので、女優のフランシス・マクドーマンドが2018年のアカデミー賞のスピーチでこの言葉を強調したことで広く注目されるようになった。

グラミー賞は5月、一部のアーティストから不透明で偏ったシステムだと批判されていた、匿名の専門家委員会が候補者の最終決定権を持つ制度を廃止した。アカデミー賞やエミー賞においても、受賞者が白人に偏っていることが批判され、多様性の欠如が問題視されている。

編集=上田裕資

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