ゲイツは、自身が設立したクリーンエネルギー技術の商用化の加速を目指すプロジェクト「ブレイクスルー・エナジー・カタリスト」を通じて、今後10年間で2億7600万ドル(約316億円)を、グリーン水素や長期エネルギー貯蔵、サステナブルな航空燃料、大気中の二酸化炭素の直接回収技術などに投資する。この投資は、これらの技術を商業化し2050年までに英国の排出量を正味ゼロにすることを目標とする英国政府の誓約に合致するものだ。
「英国とのパートナーシップは、重要な気候変動対策の展開を加速させ、より安価で利用しやすいものにするために役立つ」とゲイツは声明で述べた。「温室効果ガス排出の実質ゼロを達成するためには、クリーン・テクノロジーのコストを削減し、既存の排出量の多いソリューションとの競争力を高め、それらを置き換えていく必要がある」と彼は述べている。
今回の発表は、ロンドンで開催されたグローバル・インベストメント・サミットで行われた。
ブレイクスルー・エナジー社は、どのような企業やプロジェクトに資金を提供するのか、また資金提供先をどのように決定するのかについて、まだ明かしていない。
ゲイツは8月、米国政府と協力して同様のプログラムに15億ドルを出資すると発表した。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、ゲイツは、ブレイクスルー・エナジー社が資金を提供するのは、これらのプロジェクトへの資金提供を目的としたプログラムを含むインフラ法案が、議会で可決された場合に限られると述べていた。
ゲイツはさらに、この法案が成立しなければ、ブレイクスルーは最大規模のプロジェクトを欧州やアジアに移すことになるだろうと述べていた。今回の英国でのパートナーシップが、このような移行を意味するのかどうかというフォーブスからの質問に、ゲイツは、すぐには回答していない。
ゲイツは現在、世界で4番目に裕福な人物で、フォーブスは彼の保有資産を1336億ドルと試算している。彼は、過去10年の間、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を率いる傍ら、気候変動対策を自らの使命としており、今年2月にはこの問題に関する著書『How to Avoid a Climate Disaster』を出版し、官民連携による新たなグリーンテクノロジーの推進を提唱した。
ゲイツは2021年初頭の著書に関するインタビューで、ゼロエミッションを目指す企業に20億ドルを投資し、今後5年間でさらに20億ドルを投資する予定だと述べていた。