3人揃って「完璧な装い」 岸田内閣の女性大臣が残した印象とは

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カジュアルダウンはなぜNGか?


このように、首相親任式や閣僚認証式といった場には、正式かつ格式の高いドレスコードがある。ただ、筆者が以前コラムでも取り上げた、NY州のキャシー・ホークル知事の就任式での装いは適度にカジュアルダウンされていて、これも評価に値するものだった。コロナ禍を通して定着した“お仕事シーン”のドレスコードにおける新基準が見えたかのようだった。

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NY州知事の就任式に登場したキャシー・ホークル(Michael M. Santiago/Getty Images)

となると、「今回の閣僚認証式と州知事就任式との違いは何?」「どうして日本はいまだに固いの?」と思う方がいらっしゃるだろう。

そこには、国の感覚の違いがある。“州知事”と“一国の内閣”との差もある。さらに、もっと大きく絶対的な違いがある。それは、新内閣発足の認証式が「皇居」で行われることだ。このような式典で天皇陛下にお目にかかる際には、当然正装となる。日中なので男性はモーニングコート、女性はそれに準じたものとしてアフタヌーンドレス。これは揺るがないプロトコールなのだ。

筆者が長きにわたり見てきた経験の中から言えるのは、この場での装いがきちんとできていない人は、この先諸外国に出た際にも「残念なプレゼンス」になるケースが多いということ。

実は菅義偉元総理の閣僚認証式での正装は、なんとも残念だった。そしてやはり、G7の際にはクシャクシャコート、ダボダボスーツを着用。日本人として「他国のトップへの敬意はないのか……?」と愕然としたことを思い出す。

「その時」に備えた準備を


ドレスコードを理解して適切に装えるかどうかは、お洒落云々ではなく、その場を共にする相手を尊重する「意識」の問題だ。その姿勢が見える場面が閣僚承認式なのかもしれない。

ビジネスシーンではもう何年も前からカジュアル化の流れがあり、コロナ禍で一気に加速した。カジュアルスタイルが見事に定着しつつある感がある。

しかし、ドレスコードが明確で、正式な装いをすべき場面も当然存在している。従来よりも一層、立場や場面を把握し、スマートに判断と切り替えをする能力や、未来に起こることを想定した準備能力が試されている。

ビジネスパーソンにおいても、その意識付けが社会の中での自身のプレゼンスを確固たるものにする。今改めてドレスコードを確認し、必要な場面が訪れたとき、焦ることなく適切に判断し行動できるよう、最低限の最適なアイテムを揃えておいて欲しい。

最後に。筆者は、野田・牧島・堀内の3大臣の装いが、今後新入閣する女性大臣にとっての「好例」になることを望んでいる。「素敵で洗練された装いかどうか?」「似合っているか?」という、人それぞれの好みや受け取り方によって差が出る部分はこの際、脇に置いておく。正式な場面におけるプロトコールとして型を踏襲することは、素敵・似合うよりも重要なのだ。そして、わかりやすく示された良い前例があれば、後ろから歩んでくる人々は、迷わないで済むだろう。

文=日野江都子

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