3人揃って「完璧な装い」 岸田内閣の女性大臣が残した印象とは

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直前に入った予定にも対応できる「準備力」


アフタヌーンドレスとは、昼の正礼装として着用される装いで、男性のモーニングコートと同格のドレスのことを指す。日中の装いなので肌の露出は少なく、上着は肘が隠れる長さから長袖まで、スカート丈は膝が隠れる長さからくるぶしまでの丈、とされている。

筆者は以前、外交官で元特命全権大使、リトアニア駐箚特命全権大使もお務めになった白石和子氏に、皇居での認証式での装いについてお話を伺った。

白石氏によると、その条件は「素材は(及びそれに準ずるもの)シルク、丈はロング。色は『白・黒・紫』以外。基本的に無地(織り柄はあり)」。今回の3人の装いは、この条件にもピッタリ準じていた。

現在、『日ポーランド関係史 戦後編』の翻訳をしていらっしゃる白石氏。その原文の中には2017年、在京ポーランド大使が信任状捧呈式に向かう際に大使を迎えにきた式部官について、「後部座席の私の横には、非の打ちどころなく仕立てられたジャケットに身をまとい、まったく無用な、ただし、プロトコル上必要で最もエレガントな帽子を膝の上に置いた宮内庁の式部官が座っていた」との様子が書いてあったという。大切な伝統と格式を守る日本人としての装いや佇まいのあり方に感動したそうだ。このエピソードは、正式な装いをするにあたっての意識や、意味・意義の理解に通じている。

ただ、大使の場合は様々な予定が前もってわかっていることが多い。逆算してドレスを準備する時間があるため、前任地でドレスをオーダーするケースもあるほどだ。一方、大臣は直前にしかわからないことも多い。そういった場合、手持ちのドレスで対応しなくてはならないのだ。

ということは、いついかなることが起きても対応できるよう、前もって必要な物を準備しなくてはならない。良きことも悪しきことも想定して、責任を持ってその場に立つ自分を思い描くのだ。意地悪な見方をすると、本人の意識の持ち方やあり方、つまり日々の「仕事への備え」が、露見するとも言える。まさに「備えよ、常に」である。

その最たるもののひとつが、アフタヌーンドレスやそれに付随する装飾品。普段から意識をして準備をしておかなければ、急に着る機会が発生した時に自分にとってベストなドレスを着用することは難しいだろう。
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文=日野江都子

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