携帯型のUV照射棒が、必ずしも有効ではない理由
上述したように、UVC照射はウイルスや細菌を殺すことができるが、すべてのUVランプにその本当の力が備わっているわけではない。病院で使われているような医療グレードのUVランプは、それ用に特化した装置だ。UVランプと称している製品のなかには、ウイルスや細菌を効果的に殺せないLED光のものもあるかもしれない。
UVランプは一部のウイルスや細菌を不活化するかもしれないが、有効性については多くの疑問符が残る。そうした疑念の出どころのひとつが、医療グレードのUVCランプでは、病原体を殺すために、制御された設定で厳密に特定された照射量を用いているという事実だ。だが、小売企業の多くは、そうした研究を実施したうえで自社製ランプの実際のUVC照射量を決めているわけではない。米食品医薬品局(FDA)は、そうした小型UVランプについて、実際に新型コロナウイルスを効果的に殺していることを裏づけるじゅうぶんな情報は得られていないと報告している。
そのほか、格安のUV照射棒のなかには、単純に、日々の消毒用具として実用的ではないものもある。持ち物を確実に消毒するためには、ポケットサイズのUVランプを10~30分にわたって掲げている必要があるかもしれない。
医療分野の研究者は、UV照射棒の効果について不安を持っているのと同様に、その潜在的な危険性についても及び腰になっている。一般に、UV光は皮膚や目の損傷を引き起こす場合があるのだ。
眼科学を専門とするギレルモ・アメスクア(Guillermo Amescua)は、UVランプの使用者に対し、紫外線性角膜炎に気をつけるよう警告している。長期にわたってUVランプを使用すると、皮膚や目に炎症が起きる可能性がある。UV照射の危険性を知らない人のなかには、UV光を使って手を消毒しようとして、知らず知らずのうちに皮膚を傷つけてしまう人もいるかもしれない。
細菌やウイルスを殺す最善の方法は?
携帯型のUVランプを買いたくなっている人は、そうした小型装置に関する医学研究の結果がもっと出そろうまで待つほうがいいかもしれない。UVランプはウイルスや細菌を殺せると謳われているが、あなたが避けたいと思っている(新型コロナウイルスなどの)あらゆる種類の病原体に対して、あなたの買ったランプが本当に有効かどうかを評価するのは難しい。
現時点では、清潔さを保つ方法として、医療専門家が明言している最も有効な対策は、手を洗うことだ。1日を通じて頻繁に手を洗い、マスクを熱湯で洗濯し、イヤホンやスマートフォンを消毒用ウェットティッシュできれいにするといい。新しい消毒用製品を使う前には、かかりつけの医師に相談するようにしよう。