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億万長者の厳しい世界について執筆

NZ3 / Shutterstock.com

テキサス州にあるスモールホールド(Smallhold)のキノコ工場では、エリンギやヒラタケ、あるいは菌糸が白い毛のようなヤマブシタケなどの食用キノコが、おがくずの菌床から生えている。工場内でキノコは紫外線を照射され、湿度と温度がコントロールされた培養タンク内で育つ。あと数日でこれらのキノコは収穫され、地元のレストランや食料品店に向けて発送される。

ホールフーズや、テキサス州で店舗を展開するH-E-Bなどのスーパーマーケットは、ニューヨーク市ブルックリンに本拠を置くスモールホールドに対し、盛んに増産を働きかけている。それは、米国のキノコ振興協議会(Mushroom Council)によると、全米の食料品店における高級食用キノコの売上高が、前年比で20%以上と急激な伸びを見せているためだ。

スモールホールドが栽培するキノコは、現在では全米10州の250店舗で販売されているほか、「Amazonフレッシュ」や「ミスフィット・マーケット」といったネットスーパーにも商圏を広げている。同社のキノコはオーガニックで、しかもどこでも売っているわけではない珍しい品種を取り揃えていることから、特に需要が高い。

スモールホールドの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のアンドリュー・カーター(Andrew Carter)は、食用キノコの消費量は今後も増える一方だと見ている。消費者がより質が高く多様なキノコを味わう機会が増えているうえ、同社には、輸入品の販売を主とするライバル企業と比べて、これらのキノコをより手の届きやすい価格で提供できるという強みがある。

「各地にキノコ工場を建設する計画だ」とカーターは語る。カーターが率いるスモールホールドの従業員数は、13人から70人以上にまで増えている。「当社のキノコは、地域のファーマーズ・マーケットのように新鮮で、価格は手ごろだ。多くの食品小売店には、我々が栽培しているようなキノコに関して調達ルートがない」

スモールホールドは2021年8月、ハイテク管理されたキノコ工場のネットワークをさらに成長させるため、シリーズAラウンドで2500万ドル(約28億円)の資金を調達した。この調達ラウンドは、2017年創業の欧州の投資企業アスタノール・ベンチャーズ(Astanor Ventures)が主導し、エナジー・インパクト・パートナーズ(Energy Impact Partners)とウィートシーフ・グループ(Wheatsheaf Group)も加わった。さらに、過去に同社に投資したアレイコープ(AlleyCorp)や、投資家のデイビッド・バーバー(David Barber)のファンド、アルマナック・インサイト(Almanac Insight)なども追加投資を行っている。

バーバーは最近、アスタノールにパートナーとして加わる動きも見せた。食品システムの資金調達における変革を加速させたいとの考えからだ。バーバーは、その狙いについてこう語る。「我々は将来の食品システムに、資金活用における最強の部分を注入しているが、より迅速にことを運ぶことができる人たちとチームを組むことにした」

これらの投資家は、最近における消費者の傾向はすべて、キノコ産業、特にスモールホールドのようなスタートアップにとって追い風となるとみている。こうした傾向としては、地産地消のサプライチェーンや、気候への悪影響が少ない「肉抜きの食生活」、産業廃棄物のアップサイクリングなどを支持する動きが挙げられる。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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