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クラウド録画サービスの領域でシェア1位を獲得(テクノ・システム・リサーチ調べ)し、弊誌の「日本の起業家ランキング2021」でも同社代表取締役社長 CEOの佐渡島隆平が1位に輝いたセーフィー。

同社が急成長を遂げた要因のひとつには、2017年に実施した資金調達がある。出資に参加したオリックスとキヤノンマーケティングジャパンは、資金面のみならず、ビジネスモデルの構築や製品のブラッシュアップ、市場開拓など事業運営にも多大な影響を与えた。

セーフィーを含む3社の4人が、これまでの歩みと映像がつくる未来について語り合った。


オリックスとレンタルスキームを構築



セーフィー代表取締役社長CEO 佐渡島隆平

佐渡島隆平(以下、佐渡島) 当社はおかげさまで順調に成長を続けていますが、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)さんとオリックスさんからのご支援がなければ実現できなかったと思います。

寺久保朝昭(以下、寺久保) 私はキヤノンMJでネットワークカメラ事業の責任者を務めており、前任者から担当を引き継いだ18年にはじめてセーフィーさんのオフィスを訪れましたが、当時は雑居ビルにある狭い事務所だったので、いまのこの素敵なオフィスを見て感慨深いものがあります。ただ当時から理屈ではなく、セーフィーさんはこれから先、成長していくだろうと直感したことを今でも鮮明に覚えています。

鈴木富康(以下、鈴木) 私はオリックスで法人営業の部長を務めていますが、佐渡島さんとはじめてお会いしたときに、ビジョナリーである佐渡島さんと優秀な開発者の森本さん、下崎さんの3人がタッグを組むことで、きっと成功するだろうという感覚を抱きました。

佐渡島 鈴木さんは、はじめてお会いしたときに、ご挨拶もそこそこに「セーフィーの株がほしい」とおっしゃり、すごいパワフルな方だという印象がありました(笑)。タイミング的に難しいとお答えしたら、傘下の大京さんが管理しているマンションにカメラを置けないかというご提案までいただきました。本当にありがたかったです。そのときは、弊社の体制が整っておらず、なかなか進められませんでしたが、BtoBビジネスにこそ、クラウド録画サービスのニーズがあるということを考えるきっかけをいただきました。

鈴木 オリックスは金融会社なので、優れた技術を見いだすのは得意とは言えませんが、世界展開できる会社を発掘し、日本発のサービスを支援したいという思いがありました。それである方にいくつかスタートアップをご紹介いただいたのですが、その1社がセーフィーさんでした。

カメラの映像がスマホでスムーズに見られたことに驚きましたが、いちばん感銘を受けたのは、OS(基本ソフト)を世の中に広めるという発想です。グーグルやアップルに対抗する気だと思い、かっこいいと思いました。


オリックス事業法人営業第二部長 鈴木富康

佐渡島 その後、鈴木さんから大京さんが管理する全棟の案件を一緒に進めようと、あらためてご提案をいただき、鈴木さんのパワフルな推進力で、大京さんのご担当の方もワンチームとなり、一歩一歩、2年ほどかけてスキームができました。

B2Bビジネスの面白さをオリックスさんから学ばせていただき、この先も一緒に仕事をしたいと考え、シリーズAの増資をする際にオリックスさんにリードインベスターをお願いしました。

鈴木 私が気づかせたのではなく、最初からBtoBビジネスを狙う可能性がゼロではなかったように思います。技術的なことはわかりませんでしたが、私には「いける」という確信がありました。ただセーフィーさんへの出資は、当社ではレアケースでした。私は言ってみればセーフィーさんの信者なのですが、当初は、社内ではまったく理解してもらえなかったのです。

しかし、インターネットが広がったようにクラウドカメラのサービスが広まると思っていましたし、そのムーブメントを起こすのがセーフィーさんだと信じていたので、上司に佐渡島さんの世界観を伝えたり、なぜこの会社と協業しなければならないかを社内で啓蒙してきました。粘り強く続けることでみんなが佐渡島さんのビジョンに共感するようになり、出資にこぎつけたのです。

佐渡島 オリックスさんには、リースやレンタルモデルのスキームを構築していただきました。大京さんでは管理組合向けのリースや、建設会社が工期中に手軽に使えるレンタル運用が実現しました。

オリックスさんがコンセッション事業で携わっておられる関西国際空港や、その他にもゼネコン各社、飲食チェーン店などを鈴木さんと一緒に営業することで、クラウドカメラをさまざまな業界のトップクラスの企業へ一気に広めることができました。

鈴木 私の力というよりも、お客さまに喜んでいただいたことが何より大きかったと思います。


キヤノンマーケティングジャパン ITプロダクトマーケティング部門 NVS企画本部長 寺久保朝昭

雨降って、地固まる、キヤノンMJと資本業務提携へ


寺久保 当時、お客さまの課題解決を実現し事業拡大を図っていくうえで、キヤノンブランドのネットワークカメラ及びソリューションに加え、ポートフォリオに足りないパーツがありました。ネットワークカメラでは、2015年にスウェーデンのアクシスコミュニケーションズ社、映像を保存・管理するビデオマネジメントシステム(VMS)では、2014年にデンマークのマイルストーンシステムズ社、映像解析は、2018年にイスラエルのブリーフカム社にキヤノングループ入りして頂き、そして、最後に残ったミッシングピースが、今後さらに大きく成長する領域のクラウド録画ソリューションだったのです。

佐渡島 BtoBビジネスで展開していく場合、キヤノンさんのような大手カメラメーカーと組まないと、我々が成長していくストーリーは描けないと考えていました。すると2015年、アクシスコミュニケーションズさんの買収のニュースを知り、チャンスが訪れたと思いました。キヤノンさんが時間を買う戦略に出ていることがわかったからです。

それからしばらくして、新宿で交通調査をする案件がありました。夜の道路状況をきれいに映さなければならないのですが、うまく撮れない。カメラの性能を向上させる必要があると考え、共同創業者のエンジニアの下崎がコンタクトを取ったのがアクシスコミュニケーションズでした。

キヤノンさんと関係を構築するためには、傘下の会社と組むのが近道だと思ったのです。当社が開発したファームウェアをカメラに組み込むための領域を空けることはできないかと相談したところ、ご了承いただき、提携することになりました。

寺久保 それからが大変でしたね。

佐渡島 はい。アクシスコミュニケーションズさんで記者発表会をさせていただいたところ、新聞で記者さんの配慮で読者にわかりやすく「ソニー系とキヤノン系が手を組んだ」と報道をいただきました。

早速、キヤノンMJさんのセールスの方が販売のお問い合わせをいただいて前に進むと思っていた矢先、キヤノンMJさんから、競合関係であると、一緒にできないかもしれないとお話になりました。

そのMTGのなかで、ソニーグループの資本は入っていたものの、独立企業であることをご説明し、問題なさそうだと話になりました。この緊張感は、もしかすると、我々に関心があるからこそ生まれたものかもしれないと、会話のなかで直感的に感じました。

相談に来たキヤノンMJさんの方々に事情をご説明し、打ち合わせ終わり際に「いま、当社はシリーズAの資金調達をしています。よろしければ、資本業務提携をして、一緒に事業をしませんか」と切り返し、ご提案しました。

提案を持ち帰っていただいたところ、とんとん拍子に話がまとまり、シリーズAクロージングまで1カ月もない中で、急遽、キヤノンMJさんとの業務提携がまとまりました。

当社のクラウドベースのソフトだけでなく、ファームウェアによってネットワークのセキュリティが担保されていることも高くご評価していただきました。

キヤノンMJさんとの提携により、製品のブラッシュアップだけでなく、我々では開拓できなかった商流に入っていくことも可能になりました。

寺久保 資本業務提携によって我々のビジネスも加速しましたが、関係性を強めてもっとスケールさせていきたいと考え、19年9月に2回目の増資にも参加させていただきました。セーフィーさんとのプロジェクトは、達成できたものもできなかったものもありますが、佐渡島さんの課題発見力にはいつも驚かされています。

印象的だったのは、アパレルチェーンの事例です。商品棚が乱れたままの状態だと売り上げが落ちるということがわかり、映像から商品棚が乱れていると判断すると、アラートを発信するAIの仕組みを構想されていました。言われれば当たり前のことなのですが、なかなか気づけないことで、これは佐渡島さんのセンスだと思います。

佐渡島 エンジニアにとっていちばん苦しいのは、製品がお客様の役に立たないことです。お客様の課題に直結するものをつくろうといつも心がけています。使い手が見えている開発をすることで、PDCAは早く回るようになります。そのため、お客様の課題を発見できるよう、会社のカルチャーとして顧客の負や、現場を知ることを重視しています。

「チームセーフィー」で世界を変える


寺久保 佐渡島さんからもうひとつ気付かされたのは、成功するスタートアップがどういう会社であるかということです。スタートアップで成功する会社は1割にも満たないとも言われていますが、セーフィーという成功事例を目の当たりすることによって、新しい会社を見る際に何が足りないかなどがわかるようになってきました。

技術はあるけどどう売っていったらいいかわからないスタートアップはたくさんあるので、セーフィーさんたちと一緒に事業や会社をM&Aし、足りない部分を補っていくことができるかもしれません。


セーフィー CFO  古田哲晴

古田哲晴 セーフィーのCFOの立場から言わせていただくと、それはありうると思います。ベンチャー外部からサービスや技術を見極めるのは難しい。それを我々が評価し、ビジネス上だけでなくファイナンスでも支援できればと考えています。

オリックスさんやキヤノンMJさんと組めば、「セーフィープラットフォーム」として大きな仕かけが可能になり、業界や産業を活性化するエコシステムを形成することが可能になります。

鈴木 それはいいと思います。ほかの企業と組むよりもスピード感をもって実行していくのがオリックスの価値であり、突破口を開く営業力も持ち味だと思っています。エコシステムを実現するためにも、まずはセーフィーさんを世の中に浸透させ、日本を代表する企業に成長するサポートをしていくために、オリックスも支援していきます。

寺久保 近い将来について言うと、5Gが本格的に普及することでネットワークの領域が恩恵を受けますし、4Kや8Kのカメラが普及することで、自分の目では見えないものまで見られるようになります。

そうなれば、ネットワークカメラは、これまで我々が想像していなかった分野でも活用されるようになり、いまの事業規模をはるかに超えてスケールさせることが可能になるでしょう。ぜひ、皆さんと一緒に実績を積み上げていきたいです。

佐渡島 当社のビジョンは「映像から未来をつくる」ことであり、家から街までをデータ化し、便利な社会をつくり、人々の意思決定を変えていくことです。そのために仲間やチームづくりに特に力をいれています。それぞれの分野の真のプロフェッショナルが協調しあえる組織が強いと考えており、セーフィーカルチャーで「異才一体」と呼んでいます。

異なる才能をもった人たちが一体となって仲間をつくるからこそ、新しい世界が広がっていくのです。各分野のナンバーワンの会社にご出資いただき、仲間になっていただいているので、我々がグローバルでナンバーワンの会社にならないと恩返しできないと強く思っています。世界を凌駕するような会社になり、「チームセーフィー」で世界を変えていきたいです。





佐渡島隆平◎セーフィー代表取締役社長CEO。甲南大学在学中の1999年にDaigakunote.comを起業。2002年にソニーネットワークコミュニケーションズ入社。モーションコーポレートを経て14年10月、森本数馬、下崎守朗と共にセーフィーを創業。

寺久保朝昭◎キヤノンマーケティングジャパンITプロダクトマーケティング部門NVS企画本部長。1991年入社後、システム系の直販営業を経て、ページプリンタ企画部長、NVS企画部長、NVSエンジニアリング部長などを経て2020年より現職。

鈴木富康◎オリックス事業法人営業第二部長。ソリューション営業などを経て2016年より現職。

古田哲晴◎セーフィーCFO。2006年京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニー、産業革新機構を経て17年3月にセーフィーに入社し現職。

Promoted by セーフィー / text by Fumihiko Ohashi / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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