LospinosoとWeigandらは、サイバー軍で培った知識を50名の専門家を抱えるShift5の事業に活用しており、10月12日に、2000万ドル(約23億円)を調達したことを明らかにした。今回のラウンドはニューヨークの645 Venturesが主導し、Squadra VenturesとGeneral Advance、First Inらが参加した。
世界の重要なインフラの中にはハッキングに脆弱なものがあり、諜報活動や紛争における攻撃対象になっている。例えば、イランではドローンが撃墜されたり、ウラン濃縮施設がサイバー攻撃を受けたほか、鉄道システムに混乱が生じていた。また、米国ではコロニアル・パイプラインがランサムウェア攻撃を受けたほか、食肉加工大手JBSがハッカー集団から供給網を寸断すると脅された。
バージニア州アーリントンに本拠を置くShift5は、電車や兵器システムを稼働する、「オペレーショナル・テクノロジー」と呼ばれるシステムを監視している。Lospinosoによると、ウェブに接続されていないシステムでも、ソフトウェアラジオと指向性アンテナを使えば、160キロ離れた場所からでもサイバー攻撃を仕掛けることが可能だという。
同社は、戦車用のセキュリティシステムの開発を含む、数百万ドルの契約を米陸軍から獲得している。他にも、米空軍向けに戦闘機へのデータ送信をセキュアに行うシステムを開発しているほか、空軍傘下のCyber Resiliency of Weapon Systems Office向けのデータ解析システムを開発中だ。
民間セクターでも、多くの鉄道会社がShift5のシステムを導入している。Lospinosoは社名を明らかにしていないが、全米の大手旅客鉄道数社のシステムをサイバー攻撃から守っているという。
サイバーセキュリティ企業GRIMMでシニアプリンシパルを務めるJen Tisdaleは、米軍は、兵器システムなどの重要インフラを敵国のサイバー攻撃から防御する必要があり、Shift5のような企業に対するニーズは高まっていると述べた。