夢を形に。鎌倉インテルの「みんなの鳩サブレースタジアム」ができるまで

鎌倉インターナショナルFCオーナーの四方健太郎氏 (c) Kazuki Okamoto(ONELIFE)



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鎌倉は、三方を山で、残りの一方を海で囲まれた土地である。こうした「要害」の土地だからこそ、源頼朝はここに幕府を開いた。そしていまではその狭いエリアに神社仏閣とともに住宅が密集し、土地の余裕などない。実際、これまで「サッカーグラウンド」と呼べるほどのものはなかった。

しかし市の北部、藤沢市との境に面した深沢地区に30万平方メートルという広大な土地があった。JR東日本の大船工場だった土地である。鎌倉市はここに市役所を移転し、新しい町として開発しようという計画をもっているが、本格的な開発が始まる2024年までは他の用途に使えることになっていた。

四方さんは、たとえ暫定的ではあっても、そこに「スタジアム」と呼べるグラウンドをつくることを考えた。鎌倉インテルが使うだけでなく、そしてサッカーに限らず、広く市民に使ってもらって、広々としたきれいな緑の上で思い切り走ったりヨガをしたりすることの楽しさを知ってもらえればと思い、「みんなのスタジアム」構想を打ち上げた。
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理想像は、四方さんが暮らすシンガポールにある「Our Tampines Hub」というスタジアムだ。住宅地の真ん中に5000人規模のスタジアムをつくり、スタンド下を各種スポーツ施設、行政施設、図書館、ショッピングモールとして利用することで、見事に地域生活の「核」になった施設である。

「一足飛びにそこまではいかないけれど、まずは誰もが楽しめる場をつくり、市民がそうした理想のスタジアムを求めるようにできたらいいと思っている」と、四方さんは話す。「みんなのスタジアム」はその夢の第一歩であり、それが実現したことで、大きな力を得た。


国際基準を満たすグラウンドは、予約をすれば誰でもレンタルすることができ、空いている時間帯には人工芝のピッチの上で見学・散歩を楽しめるという。早くも老若男女そして地域、サッカーの未来を担う子供たちが多く立ち寄る場となっている
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文=大住良之 写真=みんなの鳩サブレースタジアム 編集=宇藤智子

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