アップル幹部に聞く iPhoneの「ヘルスケア機能」を強化する理由

アップル ジェフ・ウィリアムズ COO


ウィリアムズ氏が語る「先回りのヘルスケア」を実現する重要な機能が、最新のiOS 15に搭載された。そのひとつが「歩行安定性」の記録だ。


iPhoneをポケットやカバンに入れて歩くとモーションセンサーが歩行安定性を記録する機能がiOS 15から追加された。

本来は大がかりな装置を使って記録したり、介護提供者によって質問表や対面調査を通じて評価される歩行安定性のデータが、ユーザーが腰近くのポケットやカバンに入れて持ち歩くiPhoneのモーションセンサーを使って自動的に取得される。

バランス、安定性、筋肉の協調を計測しながら導き出される歩行安定性になぜアップルは着目したのだろうか。

ウィリアムズ氏は歩行安定性を知ることが、「転倒による深刻な怪我のリスクを未然に防ぐために重要なだけでなく、徐々に進行する筋力の衰え、その他の健康を脅かす深刻なリスクの予兆を知るために欠かせない」からであると説明する。ウィリアムズ氏によると、歩行安定性の記録はApple Watchが搭載する転倒検知機能を発展させたものであるという。

「バランスを崩すことなく歩行ができれば転倒もしないであろうという考え方から、アップルは歩行安定性の機能を開発しました。正確なデータに基づく開発のため、アップルとブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびアメリカ心臓協会が連携する形で、2年半以上をかけて10万人を超える歩行データのサンプルを集めて総合的な検証を行ってきました」

ヘルスケアアプリに入り、「歩行安定性」のメニューを開くと、足腰の衰えを意識的に防ぎ、歩行安定性を向上させるためのエクササイズが収録されている。歩行安定性のデータはサードパーティのデベロッパがHealthKitのフレームワークに即してその指標を参照しながら、様々なサービスを開発できる仕組みも整う。

米国から先行する事例が立ち上がっているようだ。ウィリアムズ氏は、歩行安定性の機能が今後ヘルスケアに関わる様々な知見の拡大にも貢献することを期待したいと話している。


歩行安定性はヘルスケアアプリの中で「OK」「低い」「とても低い」の3段階に分類される。アプリの中には歩行安定性の詳しい解説や、歩行に関する身体の機能を向上させるためのエクササイズも収録する。
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文=山本敦

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