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2021.10.23

コロナ禍に外食業界が強化した「店外飲食」「デジタル」の王道施策

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チックフィレの従業員が車内の顧客に商品を運ぶ様子(Getty Images)

施策2:自動車向けモバイルオーダー受取専用レーンの設置

ファストフードの中でも、調理に時間がかかるようなブランドは、その場でオーダーして受け取るドライブスルーとは、待ち時間が長いため相性が悪い。そこで産まれた仕組みが、モバイルオーダー専用の受け取りレーンである。チポレでは、コロナ前の2018年にチポレーンという、事前にモバイルオーダーをし、指定の時間になったら車に乗ったまま所定のレーンでピックアップするような方式を導入しており、成功モデルの一つと評判が高い。実際2020年5月に、シェイクシャックは、チポレと類似したフォーマットを導入すると発表した。

施策3:カーブサイドピックアップの拡大

ドライブスルーやモバイルオーダー受取り専用レーンの導入は、敷地の制約を受ける。そこで大手流通で主流になったのと同様、事前にオンラインでオーダーした注文を、車で店舗の外の指定の場所で受け取る、カーブサイドピックアップが飲食業界でも拡大した。駐車場内に受け取り場所を設置するなどで済むため、ドライブスルーよりも設置が簡単で、設置コストも低く、一気に多数の店舗に導入を進められる。例えばスターバックスでは、2020年9月時点で、米国内の800店舗にカーブサイドピックアップを導入しており、さらにその数を倍以上に増やす予定だと発表した。

施策4:モバイルオーダー用のピックアップ専門店の展開

最後は都市部で進められている施策の紹介だが、モバイルオーダー経由の注文に特化したテイクアウト専門店の展開だ。例えばスターバックスではテイクアウトに特化した小型店舗を2019年から実験していたが、その展開スピードを加速させると2020年の6月に発表した。チポレでも2020年11月に「Digital Kitchen」という、デリバリーとピックアップ専門店のプロトタイプを公開し、今後の展開が期待されている。

このようにしてコロナ禍をきっかけに推進された「店外飲食」×「デジタル」の領域だが、もちろんその陰にはインターネットサービス事業者の存在がある。次回の記事では、インターネット事業者の角度から、外食産業にどのような変化が起きているのか探りたい。

連載:米国の破壊的イノベーション、その最前線
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文=射場瞬 関野桃子

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