「バイセクシュアルのスーパーマン」に保守層が猛反発した理由

Jack Taylor/Getty Images


それに、既存のスーパーヒーローの後を継ぐ新キャラクターが初代とは異なるアイデンティティーを持つことは、何も今に始まったことではない。刺激的な新キャラクターを登場させることは、コミック作者が作品の新鮮さを保つためによく使う手法であり、これまで似たり寄ったりだった面子に多様性を持たせるチャンスでもある。

新しいキャラクターが非常に人気となり、オリジナルの影を薄くすることさえある。アニメーション映画『スパイダーマン スパイダーバース』は、オリジナルとは違う世界で活躍するスパイダーマンとしてマイルス・モラレスやグウェン・ステーシーを登場させ、誰もがスパイダーマンになれることを示した。

むしろ、スーパーヒーローものなどのコミックブックは、実験的なシナリオやバリエーションが繰り返されるジャンルとして知られてきた。過去には、ソ連・ロシア系のスーパーマンや、悪のスーパーマン、性別が逆転したスーパーマン、黒人のスーパーマンが登場してきた。黒人のスーパーマンについては、タナハシ・コーツ脚本の新作映画が近く公開される予定だ。

最近では、スーパーヒーローもののコミックでLGBTQ(性的少数者)に大きな焦点が当てられるようになった。マーベル・コミックスは、「X-MEN」のアイスマンが同性愛者であることを明らかにしたし、シリーズ初となるゲイのキャプテン・アメリカも発表。「バットマン」シリーズでは8月、新生ロビンがバイセクシュアルであることが明かされた。

特定の層からネガティブな反応が出るのは常に予想されるが、多くのコミックファンはDCコミックスによる今回の発表にとても興奮し、コミック界全体にとっての前進と捉えた。

おなじみのストーリーに新たな視点をもたらすためにアイデンティティーが変更されたスーパーヒーローは、スーパーマンが初めてではなく、今後もそうしたキャラクターが登場していくことは間違いないだろう。

編集=遠藤宗生

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