フェラーリ296GTB 日本上陸。変わる時代に「らしさ」で応える名門

フェラーリ296GTB

老舗の本当の力とは、変わることを恐れないこと。という成句を地でいくような活動を展開するのが、イタリアのフェラーリ。スポーツカー界の名門中の名門でありながら、昨今ではピュアなガソリンエンジン車だけでなく電気モーターを搭載したハイブリッドカーを次々と発表。大胆な製品戦略を打ち出している。

2021年10月14日には、東京で、新型車「フェラーリ296GTB」のお披露目が行われた。車名のとおり、2.9リッターV型6気筒エンジンに、プラグインハイブリッドシステムが組み合わされている。

お披露目するフェラーリ・ジャパン代表取締役社長フェデリコ・パストレッリ
渋谷TRUNK(HOTEL)でのお披露目では、フェラーリ・ジャパンの代表フェデリコ・パストレッリが熱いプレゼンテーションを行った。

過去10年のフェラーリモデルのなかでもっともコンパクト、と言われる。今年4月に日本でも公開されたプラグインハイブリッドV8の「フェラーリSF90ストラダーレ」と比較すると、ホイールベースは50mm短い2600mmで、全長は145mm切り詰められて4565mm。

後ろから見た296GTB

とはいえ、ボディーはリアフェンダーが大きく張り出しているうえ、リアの大きなエアインテークや、ロールバーを兼ねるリアクォーターピラー、それにカムテール(ドイツの空力研究者ウニバルト・カム博士の理論にもとづき垂直に裁ち落としたようなテールエンド)などは、1963年の名車「250LM」からのインスピレーションとされる。

その魅力はスタイリングだけにとどまらない。1基のモーターの力を利用する後輪駆動で、システム合計出力は610kW(830cv)、最大トルクは740Nm。静止から時速100キロまでの加速は2.9秒とすさまじい。

昔は12気筒でないフェラーリをベイビーフェラーリなどと呼んだが、電気の力を利用した新世代フェラーリは、もはやそういう序列を許さない。新しい価値創出に成功しているといえるだろう。
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文=小川フミオ 写真=青山鼓

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