2023年「欧州グリーン首都」 エストニアのタリンに

エストニア 首都タリン(Sean Gallup/Getty Images)

欧州委員会(EC)は、2023年の「欧州グリーン首都賞」に、エストニアの首都タリンを選出した。同賞は2010年から毎年与えられているもので、環境問題における意識向上や最良慣行の共有を目的としている。

タリンは、環境政策での強固な計画が評価され、同賞を受賞した。2030年までに温室効果ガス排出量を40%削減し、2050年までに排出量を実質ゼロにすることを目指している。同市には、環境プロジェクト資金として60万ユーロ(約8000万円)が贈られる。

観光振興に貢献も?


受賞により、エストニアの環境プロジェクトに対する投資の関心は確実に高まるだろう。加えて、環境に優しい旅先を選びたい観光客に注目されるようになるかもしれない。

エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国の都市が同賞を受賞したのは今回が初めて。ただしタリンは2011年、フィンランドのトゥルクと共同で欧州文化首都の称号を与えられたこともある。

タリンでできること


タリンへの旅を計画する際、目に入る写真の多くは中世の街並みが残る旧市街の風景だ。かつて交易の中心として栄えた旧市街は現在、観光客向けの割高な店が並ぶ場所になっているため、美しい路地や広場を散策しながらも「中世のランチを体験」といった呼び込みは丁寧に断った方がよい。要塞内の隠れ通路を散策するガイド付きツアーに参加するのもいいだろう。

聖オレフ教会は中世から残る市内の建築物の中で最も高い建物で、少なくとも10回は雷に打たれたことが知られている。

現在のエストニアは、独立から30年しかたっていない。国内には、ロシア帝国とソ連時代の名残が多くみられる。その代表例が、ロシア正教会の教会であるアレクサンドル・ネフスキー大聖堂で、豪華な装飾が施され、内装も外観も非常に美しい。

旧市街から離れたところでは、カドリオルグ公園が徒歩での散策にうってつけの場所だ。花壇やカドリオルグ宮殿へと続く散歩道は多くの人が訪れている。

エストニアへのグリーンな旅


飛行機や車を使わず欧州の他都市からエストニアに向かうことはできるが、時間がかかる。

旅行情報サイト「Seat61.com」はロンドンからタリンへの移動方法として、列車とフェリーを使ってコペンハーゲン・ストックホルム経由で行くルート、ユーロスターから列車を乗り継いでドイツ・ロストックに向かい、そこからフェリーでヘルシンキ、そしてタリンへと向かうルートのほか、より時間はかかるが陸路で列車とバスを使ってブリュッセル、ベルリン、ワルシャワ、ビリニュス、リガを経由するルートを紹介。「ロンドンからタリンへの旅は3晩かかり、途上での見所が多い素晴らしい冒険だ」としている。

フィンランドの首都ヘルシンキからフェリーでエストニアに向かうルートは人気が高い。所要時間はわずか2時間なので、日帰り旅行もしやすい。このことから、エストニアは常にフィンランド人の観光客でにぎわっている。

編集=遠藤宗生

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