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菊地洋平プロデューサー(左)と武井壮さん(右)

コロナ禍は、映画、音楽、アートやスポーツなどのエンターテインメントに何をもたらしたのか。観客や受け手へのアプローチはこれからどう変わっていくのか。

タレントであり、フェンシング協会会長でもある武井壮さんが、新しいエンタメビジネスのかたちを模索する人たちと対談していく新シリーズをお届けする。

今回は、コロナ禍の映像クリエイターや制作スタッフを支援する映画製作プロジェクト『DIVOC-12(ディボック・トゥエルブ)』を立ち上げたソニー・ピクチャーズの菊地洋平プロデューサーとの対談だ。

武井さんも、コロナ禍で活躍の場を失ったアスリートやミュージシャンら、異業種の才能を結びつける「#スポーツを止めるな #音楽を止めるな」という活動を展開してきた。

コロナ禍でも動くことをやめなかった2人は、いまどんな思いでいるのか。

エンタメが生んだ意外な「分断」


──コロナ禍でお二人が立ち上げた活動には、「止めない」という共通の思いがあるように感じます。

菊地:『DIVOC-12』は、昨年4月にソニーが立ち上げたグローバル基金をきっかけにできたプロジェクトです。コロナ禍で撮影現場がストップし、配給している洋画が1本も公開されないなかで、これまでにないような危機感を肌で感じました。一度止まってしまったものを再始動させるのはとても大変なので、なんとか製作の機会をつなぐことはできないかと考えて、12人の監督にそれぞれ10分の作品をつくってもらうことにしたんです。


12人の監督による12本の物語からなるオムニバス映画『DIVOC-12』絶賛公開中 (C)2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

武井:スポーツ界も、大きな大会はほとんどが中止や延期になりました。もちろん、オリンピック、パラリンピックが1年延期されたことはいちばん大きな衝撃でしたが、僕が会長をしているフェンシングの大会も軒並み中止、延期、無観客が続いて、スポーツで収益を得ることが難しい状況になりました。

なんとかアスリートの皆さんの活躍の場をつくりたいと、誰かが負担を引き受けて必死の思いで大会を開催しても、「なぜこんな時期にやるんだ」「けしからん」といった不満や批判の声が集まってしまう。そんな苦しい状況が、ここ1年半ほどずっと続いています。

芸能関係も同じで、ロケもできない、ライブもできない。正直、みんな一時期完全に止まってしまっていたと思うんですよ。

そんななかでも、僕の知り合いが多かったスポーツや音楽のフィールドで活躍する人たちが、それぞれ発信したり交流をもったりして、いつもの居場所よりもちょっと認知を広めたかたちでコロナ禍の先を迎えられないかと思って、音楽とスポーツをくっつけて歌ってもらう「#スポーツを止めるな #音楽を止めるな」という活動をやってきたわけです。

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武井:僕らのような仕事は、見てくれる人たちがいてはじめて成り立つビジネスなんだということをすごく実感しましたね。どんなに作品や技術のクオリティを磨いたとしても、見てくれる人がいなければ、社会的・経済的な価値をなかなか生むことができないですから。

菊地:映画も一時期は、見てくれる人もいなければ、作り手もいない状態で、業界が麻痺してしまっていたと思います。ただその一方で、配信サービスが飛躍的に伸びた。映画館は閉まっていたけれど、別の形で映画を楽しもうとする人が増えたことは、ビジネス的にも面白いなと思いました。

武井:たしかに、失われた場がある一方で、新しく生まれたものもいっぱいありましたよね。テレビにしても、リモート出演というかたちができて、これまで移動にコストも時間もかかっていた地方の番組にもどんどん出られるようになったりしました。ある意味チャンスが増えた面もあるのかもしれません。

構成=松崎美和子 写真=今井裕治

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