分断や違いを乗り越えろ。エンタメが持つこれからの可能性

菊地洋平プロデューサー(左)と武井壮さん(右)


──クリエイターに限らず、コロナ禍の閉塞感から突き抜けるために大切なこととは?

武井:やっぱり新しい発想が必要だと思うんですよ。「パズル力」と言ったらいいのかな、これからは異質な要素同士を「組み立てる力」がすごく重要になってくると感じています。色や形がバラバラなピースを集めて1枚の絵を完成させていくようなイメージ。

コロナ禍でもうまくパズルできたものはどれもワークしているなと感じるんですよ。今まで個々で成立していたサービスや仕組みのなかには単体では立ち行かなくなってしまったものもあるけれど、これとあれを組み合わせたらイケるじゃんっていう例が多い気がして。

例えば、営業を制限された飲食店が、デリバリーを始めたことによって、それまではアクセスできなかった違う層のお客さんからの注文が増えた、というようなことが、いろいろな業界で起きていると思う。飲食店×デリバリー×スマホアプリのように、要素を掛け算したり、意外なものを組み合わせたりすることによって、新しい成功例が生まれやすくなっているのかもしれませんね。

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菊地:「パズル力」ってすごくいいですね。武井さんはプロデューサー視点なのかも。人と人との組み合わせも、アイデアも、チームもパズル。プロジェクト全体を俯瞰的にみる力ですよね。

コンテンツのつくりかたも同じで、異質な要素のパズルで新しいものを生み出している場合が多いかなと思うんです。漫画「東京卍リベンジャーズ」は良い例なのかもしれません。

武井:スポーツで言えば、いま僕はフェンシングを広めるために、いろいろとアイデアを試そうとしているところです。もっとたくさんのお客さんにフェンシングを見にきてもらうために、ショー形式にしてみたらどうかとか、もっと進めて、サブスクとパズルさせたら面白いんじゃないかなとか。例えば一般の人が「フェンシングをやってみたい」と思っても、どこでできるのかわからない。だから、月額払えば誰でも思い立ったらプレイできる場所をつくることができたらいいなと思って。

菊地:組み合わせられるピースを増やしたり、広げたりするためにも、やはりいろいろな人とつながって種を撒いておかないと、時代や世の中の流れに対応したものをつくるのは難しくなりそうですね。イノベーションという言葉があっているのかどうかわからないですが、そうやって「総力戦」で新しいものを生み出せていけたら面白いなと思っています。

武井:もっというと、自分の中にだって違う要素や違う役割がたくさんあるじゃないですか。それも組み合わせてみたら、違うチャンスがつくりだせるかもしれないですよね。

だから僕は、今の状況をそんなに悲観していないんです。僕らは進化していて、活躍できるフィールドも実は以前よりも広がっているのではないかと思っています。

構成=松崎美和子 写真=今井裕治

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