同社のプレジデントで最高経営責任者(CEO)のチップ・バーグは、決算報告において、デニムへの強い需要がけん引する形で売上増を達成したと述べた。2020年の同時期は、コロナ禍により多くの店舗が休業していたため、今回の決算で注視すべきは2019年との比較だ。純利益は、2019年と比べて56%増となった。
第3四半期の成長に大きく貢献したのはデジタルチャネルだ。このカテゴリーの売上高は、2019年との比較で76%増、前年比でも10%以上の伸びを見せた。当期の売上高全体で見ると、デジタルチャネルは約20%の割合を占めている。
機動的な戦略で、サプライチェーンの危機にも対応
会見でバーグは、サプライチェーンが抱える課題にも言及したが、グローバルで多様なリーバイスの調達戦略が、競争において有利に働いていると説明した。
「クロスソーシング(分散調達)の採用は功を奏しており、これにより、問題の発生をにらみながら、即座に生産工程を変更することが可能になった」とバーグは述べた。例えば、米国西海岸の港が混雑してくると、出荷先を東海岸の港に変更するなど、問題の発生を見越して先手を打ってきた。
強力なベンダーとのパートナーシップ、そして機動的な製造・流通モデルを通じて、リーバイスはサプライチェーンが在庫保有量に及ぼす影響を最小限に抑え込むことができている。2020年、同社の在庫保有率はわずか4%にまで絞られていた。
利益をけん引する、D2Cとデジタル部門の成長
粗利益の底上げに貢献したのは、D2C(Direct to Consumer)とデジタル部門の成長だ。粗利益率は2019年には53%、2020年には54.3%だったものが、2021年には57.6%まで上昇している。
リーバイスの価格戦略のほか、グローバルで多様な調達戦略によって在庫切れを最小限に抑える能力、そしてD2C部門への注力は、今後も収益性の向上に貢献するはずだ。
8月にはビヨンド・ヨガ買収を発表
リーバイスは8月、ビヨンド・ヨガの買収契約に合意した。この時の発表によると、この買収によるD2Cチャネルの拡大を通じて、ビヨンド・ヨガというブランドは、さらに多くの消費者の目に触れる機会を得るという。具体的には、実店舗での小売展開、ジェンダーおよび各カテゴリー部門の成長、そしてプレミアムパートナーとの提携による卸売分野での地歩の拡大がその手段となる。
リーバイスがアクティブウェア(ファッション性を高めたヨガやフィットネス用のアパレル製品)分野に進出するなかで、ビヨンド・ヨガとの提携は、成長しつつあるウィメンズ分野を後押しするだろう。ウィメンズ分野は今後、全ビジネスの5割を占めるようになると予測されている。
「加えて、メンズのヨガウェアは大きな可能性を持つ分野であり、このカテゴリーに関する当社のノウハウをもってすれば、事業の成長に大きく貢献できるはずだ」とバーグCEOは語り、リーバイスが今回の提携に、規模の拡大とブランド構築をどのようにもたらすかについて説明した。
バーグはまた、ビヨンド・ヨガというブランドが持つ特性が、ボディ・インクルーシブやボディ・ポジティブに関するリーバイスの戦略と合致していると指摘した。
ビヨンド・ヨガは、プレミアム・アスレジャーのカテゴリーに属するブランドで、2005年の創業当時から、ボディ・ポジティブの推進を掲げている。そして、XXSから4Xまで、あらゆるサイズの体型を尊重し、称える方針を貫いている。